常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第32回報告 ―
- ○ 開催日時
- 2018年3月26日(月)17:00~19:00
- ○ 開催会場
- プラザエフ5階 会議室
- ○ 参加者
- 19名(委員5名、オブザーバー13名、事務局1名)
テーマ
- 報 告:
- 金 亨美氏(iCOOP協同組合研究所 所長)
- テーマ:
- 「韓国の新しい協同組合の活動状況 -協同組合基本法施行後5年を経て」
概要
金亨美氏(iCOOP協同組合研究所所長)より、韓国の新しい協同組合の活動状況について、報告をいただき、質疑・意見交換を行った。
報告の要旨
- 韓国の協同組合基本法が施行されてから5年が経過し、協同組合の組織や活動概況と、新しい協同組合の活動を紹介する。また、現在国会に上程されている基本法の改定内容についても紹介する。
1.基本法施行(2012年)から5年間の主な動向
韓国では、若者・女性の失業問題、所得と社会の不平等の深刻化、脆弱な社会福祉制度などの社会経済が大きな問題に直面していることを背景に、このような問題を解決するセクターとして協同組合への期待が高まった。2012年社会的経済連帯会議が発足し、基本法制定に向けた運動が始まった。2013年にソウル市長のリーダーシップのもとで「協同組合都市ソウル」宣言が行われ、2017年には社会的経済基本法が国会に提案されている。こうした中で、2013年に学校協同組合(ヨンリム中学校)が誕生、2014年には公益活動家の社会的協同組合が誕生するなど、協同組合が新たなセクターとして活動領域を広げてきた。
2.協同組合の概況
基本法では、2年ごとに協同組合の実態調査を行うことが決められており、2017年に第3回目の調査が行われた。類型では事業者協同組合が7割を占めているが、増えているのはマルチステークホルダー型協同組合や社会的協同組合である。就業者は27,129名で女性が65%である。
3.新しい協同組合の紹介
- ナメクジ住宅協同組合は、若者たちが共同賃貸(シェアハウス)のビジネスを展開している。ウリドンセン社会的協同組合は、「ペットにも組合員資格を与える」という考えのもと動物病院を運営している。ハンギョレドゥレ協同組合は、簡素な葬祭文化を広げることを目的に、社会葬や孤独死の葬儀を行っている。PIZZA連合は、大手ピザフランチャイズの不合理な慣行に反対する店主たちが立ち上げたフランチャイズ協同組合である。若者コラボ農場は、ワーカーズコープとして立ち上げられ、有機栽培の葉物を生産、産消交流・販売・教育事業を行う。
4.基本法の改定に向けて
現在の基本法の問題点を解決するため、政府は国会に改定案を発議している。主な内容は、①異業種間の協同組合連合会の設立を可能にする、②優先出資規定を新設する、③許認可の見なし制度を新設する、⑤休眠組合の解散手続きを簡素化する、などである。
配布資料
- 報告レジュメ 「韓国の新しい協同組合の活動状況 -協同組合基本法施行後5年を経て」
- 「協同組合法制度研究会 2018年度活動計画」
その他
次回第33回研究会は
- 日時:2018年5月28日(月)午後5時~7時
- 報告テーマ・報告者は、現在調整中。