常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第31回報告 ―
- ○ 開催日時
- 2018年1月29日(月)17:00~18:30
- ○ 開催会場
- プラザエフ5階 会議室
- ○ 参加者
- 14名 (委員5名、オブザーバー8名、事務局1名)
テーマ
- 報 告:
- 福田弥夫 氏(日本大学危機管理学部 教授)
- テーマ:
- 「アメリカの協同組合について -ミネソタ州の状況を中心に」
概要
福田弥夫先生(日本大学危機管理学部教授)より、アメリカの協同組合と法制度について、報告をいただき、質疑・意見交換を行った。
報告の要旨
- アメリカの協同組合の歴史は古く、1752年フィラデルフィア住宅火災保険協同組合であるといわれている。ヨーロッパの影響はあったが特に農業の領域で発展しアメリカ型ともいうべき新しい協同組合の形態を作り上げた。2000年に入って投資組合員の存在を認める州法が、相次いで制定されるようになった。それが生まれてきた背景と新しい協同組合の現状を報告する。
1.アメリカの協同組合の歴史
- 1752年に、ベンジャミン・フランクリンの手によってフィラデルフィア住宅火災保険協同組合設立。以降、1800年代に協同組合が相次いで設立されたが、多くは農業分野の協同組合で、アメリカの中西部から西海岸の州での設立が多かった。
- アメリカでは、協同組合の特徴を①利用者による所有、②利用者による支配、③利用者への利益還元の3つとしている。
- 協同組合の種類は幅広く、農業、マーケティング(加工・販売)、農業資材等の共同購入、サービス、芸術・工芸、チャイルドケア・幼児教育、信用事業、住宅、公益事業(電話、電気)など多種多様。
2.新しい協同組合法の制定
- 2000年代に入って、組合員ではない投資家の存在を認める新しい協同組合法は、各州で制定されるようになった(ワイオミング、ミネソタ、テネシー、ワイオワ、ウィスコンシンなど)。これらの州に共通しているのは、農業が非常に盛んな州であること。
- この制度の特徴は、①利用組合員と投資組合員の存在を認める、②組合員が出資すると出荷権を得る、出荷権は譲渡もできる、③投資組合員は主旨はするが出荷などの利用義務はない、など。
- こうした制度は、新たな事業展開をするための資金調達が目的であり、組合員からだけでは調達できないからであった。こうして協同組合は市場の欠落を補うものから、生産物河口による利潤の獲得へのシフトしてきた、との指摘もされている。
3.最近の動向
- 協同組合がコミュニティ開発の重要なツールであるという認識は、アメリカの中でも広がっている。農業以外の分野で協同組合が設立されている(例:過疎地などでの協同組合)中で、農業協同組合の比率が低下している。また、大規模協同組合と小規模な協同組合に2極化している。
配布資料
- 報告レジュメ「アメリカの協同組合について」
その他
次回第32回研究会は
- 日時:2018年3月26日(月)午後5時~7時
- 「韓国の新しい協同組合の活動状況」 金 亨美先生