研究活動

常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第26回報告 ―

○ 開催日時
2017年3月27日(月) 18:00~20:00
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
18名 (委員4名、オブザーバー13名、事務局1名)
テーマ
報 告:
佐藤孝一 氏(生協総合研究所 研究員)
栗本 昭 委員(法政大学・連帯社会インスティテュート 教授)
テーマ:
「スイスの協同組合と法制度」
概要

 佐藤孝一生協総研・研究員より、スイスの協同組合について、そのあとで、栗本昭委員(法政大学・連帯社会インスティテュート教授)からスイスの協同組合法制度について報告をいただき、質疑・意見交換を行った。

報告の詳細

1.スイスの協同組合の概要

  • 国連による協同組合経済ランキングでトップはニュージーランド、2位がフランス、3位がスイスだった(2014年)。一方「社会進歩指標」では、1位がニュージーランド、2位がスイスで、国連は「協同組合経済と社会進歩指標との間には相関関係があると思われる」と指摘している。
  • 生協を始め、保険、農協、銀行、住宅など、様々な分野で協同組合が活動している。最近では、カーシェアリング事業を行う協同組合もあり、利用者の運営参加による事業展開は、協同組合形態が有効と期待されている。
  • 大手20の協同組合の合計事業高は、6兆8200億円(スイスと日本の人口比で換算すると、日本では90兆円規模)。
  • 生協の分野では、コープ・スイスとミグロの2つが高いマーケットシェアを持っており、国民からの高い信頼を得ている。その要因としては①活発な広告宣伝活動、②社会貢献活動(ミグロは事業高の1%を社会文化基金に当てている)。また、従業員からも高い評価を得ている。

2.スイスの協同組合の法制度

  • 協同組合法はなく、スイス債務法(スイス民法の第5篇)で、契約関係、法人制度(株式会社、協同組合など)、登記・会計などを定めている。
  • 協同組合については、「相互自助を通じて組合員の利益を促進または確保することを第一義的に追求する法人として組織された団体」と定義されている。
  • 協同組合の優遇税制はなく、法人所得への連邦税は8.5%でどの法人格も同じ。
配布資料
  1. 「スイスの協同組合について」(佐藤孝一)
  2. 「二大生協の高いシェアと国民の評価」(佐藤孝一、『生協総研レポート』)
  3. 「スイス二大生協の事業概要」(佐藤孝一、『生協総研レポート』)
  4. 「ミグロのガバナンス」(佐藤孝一、『生協総研レポート』)
  5. 「スイスの協同組合と法制度に関するQ&A」
  6. 「スイス債務法における協同組合に関する規定」
  7. 「協同組合ミグロス・チューリッヒ 定款」
  8. 「協同組合法制度研究会 2017年度活動計画(案)」
その他

(1)次回第27回研究会は2017年5月29日(月)に開催する。テーマと報告者は、これから検討・調整する。

(2)2017年度の活動計画(案)を事務局より提案し、確認した。