常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第25回報告 ―
- ○ 開催日時
- 2017年1月30日(月) 18:00~20:25
- ○ 開催会場
- プラザエフ5階 会議室
- ○ 参加者
- 13名(委員5名、オブザーバー7名、事務局1名)
テーマ
- 報 告:
- 栗本 昭 委員(法政大学・連帯社会インスティテュート 教授)
- テーマ:
- 「北欧の協同組合と法制度」
概要
栗本昭委員(法政大学・連帯社会インスティテュート教授)から「北欧の協同組合と法制度」というテーマで報告をいただき、その後、質疑・意見交換を行った。
報告の詳細
1.北欧の協同組合の概要
北欧の生協は各国で大きな市場占有率を持ち、流通近代化をリードしてきた。スウェーデン(SE)は都市生協が中心で、デンマーク(DK)とフィンランド(FI)は農村系が中心となっている。北欧の国際間の協同・連携も進んでおり、生協はNAF,Coop Nordenなどの共同仕入れ組織が、酪農や畜産分野ではArla Foodsという多国籍協同組合が事業展開している。その他の分野では、保険組合、金融協同組合、森林組合、石油消費者組合、保育協同組合、住宅協同組合などがある。DKでは、風車、バイオマスなどの再生可能エネルギーによる発電協同組合もある。
2.北欧の協同組合の法制度
- ①法律は、SEでは「経済アソシエーション法」が、DKでは「一定の商業事業に関する統合法」が根拠法になっている。一方、ノルウェー(NO)とFIでは協同組合法に基づいている。
- ②協同組合は、特別の定めがない限り、いかなる経済事業も行えることとなっている。因果入用も制限なく認められている。
- ③協同組合の設立は、SEでは3人、DKとNOでは2人、FIでは1人が最低組合員となっており、設立時の最低資本金の定めはない。
- ④財務では、加入脱退が自由のため変動資本制で、資本調達は「出資金」「内部留保」「組合員債」「外部借入」となっている。剰余金は、NOでは、「利用高割戻し」「払い戻し基金(集合的資本)」「組合員資本勘定」「出資配当」に配分している。DKでは、出資金への利子のほか、利用高割戻し、内部留保に配分される。
- ⑤税制では、NOは税制上の優遇措置が近年縮小されてきた。SEとDKでは一般会社と同様に課税されている。
参考文献
- Cracogna, Fici, Henry eds., International Handbook of Cooperative Law, Springer (2013) →生協総研に所蔵しています。
- EURICSE, Study on the implementation of the Regulation 1435/2003 on the Statute for European Cooperative Society (2010)