研究活動

常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第23回報告 ―

○ 開催日時
2016年9月26日(月)18:00~20:10
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
13名 (委員6名、オブザーバー6名、事務局1名)
テーマ
報 告:
関 英昭 委員(青山学院大学 名誉教授)
テーマ:
「ドイツ協同組合制度と協同組合法」
概要

 関英昭委員(青山学院大学 名誉教授)から「ドイツ協同組合制度と協同組合法」というテーマで報告をいただき、その後、質疑・意見交換を行った。

報告の詳細

1.ドイツの協同組合:

 ①ドイツの協同組合の歴史では、現代の協同組合には4つの源流があること、②協同組合の現状では、1993年の統計資料によると、協同組合銀行 2,802、農業系協同組合 4,568、事業系協同組合 1,404、消費組合 72、住宅協同組合 1,938 合計10,784の協同組合がある(1993年の統計資料)。2015年度の資料によると、信用事業 1,021、農業系協同組合 2,250、事業系協同組合 1,333、エネルギー協同組合 854、消費組合・サービス業協同組合 332となっていることが、報告された。③上記団体と研究組織については、連合会は各事業領域ごとに中央連合会がありそれを束ねるmのとしてドイツ協同組合およびライフアイゼン連合会、さらに上位にドイツ協同組合団体専門委員会がある。研究機関では、大学の協同組合研究所、協同組合研究機関が多数ある。

2.ドイツの協同組合法:

 1889年の「産業及び経済協同組合に関する法律」がドイツ帝国法として成立したのが、現在の協同組合法につながっている。2003年に成立した「EU協同組合法」が2006年8月に施行され、その年10月に「EU協同組合法」に合わせる形でドイツ法が改正された。主な改正点は、目的に「組合員の社会的文化的目的」が加えられたこと、設立で必要な組合員数が3名で良いことになった、現物出資や投資組合員が認められた、定款で最低資本金を定めることができるようになった、などである。

 協同組合法の特色は、統一協同組合法で、法1条の目的を有する団体であれば、いかなる種類の協同組合を設立することも可能である。設立時組合員が3名で足りるとしたのは、協同組合を活性化することにあった。いかなる協同組合も、信頼を高めるためにいずれかの協同組合検査団体に所属しなければならない。投資組合員制度が導入されて、協同組合と株式会社との垣根が低くなった、などが挙げられる。

 報告の最後に、ドイツの法人制度と協同組合の関係について説明した。法人は民法では、社団(経済活動を行う法人=株式会社と行わない法人に分かれる)、財団、公法上の法人の3つに分けられるが、協同組合は協同組合法に基づく法人となる。

質疑討議:目的に「社会的文化的目的」が加わった背景、出資金の分割払込制度と現物出資、「持分」「貸分」の概念などをめぐって、議論が行われた。