研究活動

常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第22回報告 ―

○ 開催日時
2016年7月25日(月)18:00~20:00
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
17名 (委員4名、オブザーバー11名、事務局2名)
テーマ
報 告:
佐藤 紘毅 氏(市民セクター政策機構主任研究員)
テーマ:
「イタリアの協同組合の活動と協同組合法制度について」
概要

 今回より、座長が関委員から、栗本委員に交代した。

 佐藤紘毅氏(市民セクター政策機構主任研究員)から「イタリアの協同組合の活動と協同組合法制度について」というテーマで報告をいただき、その後、質疑・意見交換を行った。報告の具体的な内容は(1)イタリアの近現代史の特色、(2)イタリア協同組合の歴史的形成過程、(3)イタリア協同組合法制の経過、(4)イタリアでの協同組合の定義など、であった。報告は、イタリアの歴史・文化と法制度の変遷を中心に説明が行われた。協同組合が産業に占める割合は、企業数では全産業で1.5%、従業員数では7.2%(2011年度)、GDPに対しては4.7%を占めている。地域(洲)による違いはあるが、比較的事業規模(従業員数)の大きい事業体となっている。法制度は、1882年の商法制定の中で規定されたことに始まり、憲法の中で定義され、社会の変化と協同組合の発展と共に頻繁に法改正が行われてきた。協同組合の数は、8万組合を超えているが、今日の特徴は社会協同組合が増えていることである。1991年に社会協同組合法が成立し、少人数でも登記するだけで協同組合を設立することが可能になった。また、1992年の新協同組合法では、これまで剰余金の30%を「不分割積立金」として積み立てることになっていたが、そのうちの3%を「相互扶助振興基金」として連合会に拠出することとなった。この基金は、社会協同組合の育成に寄与した。討議では、イタリアの法律での協同組合の定義、不分割積立金の取扱いと位置づけ、法制度の体系・関係性などについて、活発な質疑が行われた。

報告の詳細

1.イタリア近現代史の特色:

 イタリアは20州から成っているが、全土は4区分できるが、南北に分けて「南部問題」に注目することもある。5つの特別州がありそこでは州独自に法律をつくるなどの自治権が認められている。かつてマフィアは南部問題の一つだったが今は全土に広がっており、イタリアの大きな課題となっている。戦後の民主主義運動は、反ファシズム(レジスタンス運動)を中心に進んできた。

2.イタリア協同組合の歴史的形成過程:

 1950年代は政党(共産党)の影響下で協同組合は停滞した。70年代に入り協同組合のイニシアが発揮されるようになった。90年代には社会協同組合が広がり、障害者や保育問題に対する協同組合の活動が進んできた。

3.イタリア協同組合法制の経過:

 主な法制度は、商法(1882年、第219条~228条)、民法典(1942年、第2511条~2545条)、バゼーヴィ法(1947年)、憲法(第45条)、協同組合新法(1992年)、民法典改定(会社法改定)(2001年~04年、第2511条~2545条)など。憲法に協同組合のことが位置付けられていることが特徴。

4.イタリアでの協同組合の定義など:

 協同組合の定義として「相互扶助性」があることとされている。