研究活動

常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第12回報告 ―

○ 開催日時
2015年5月22日(金) 18:20~20:40
○ 開催会場
コーププラザ4F 小会議室
○ 参加者
11名 (委員5名、オブザーバー5名、事務局1名)
テーマ
報 告 :
増田 佳昭 氏
テーマ :
「農協改革」の狙いとJA自己改革の基本方向
概要

 滋賀県立大学の増田教授より標記テーマについて以下の報告があり、意見交換を行った。

1.「農協改革」の現段階をどうみるか

1)「農協改革」をめぐるさまざまな思惑

 政権はTPP反対派つぶし、アベノミクスの実績づくり、農水省は信共分離と肥大化農協の「整理」、財界、米国はビジネスチャンスの拡大。

2)推進派からみた「農協改革」の到達点

  1. ①中央会は「縦横分割」(「改革」の第1段階に着手)
  2. ②「農業のための農協」へ(「農業者の協同組合」の方向性を明示)
  3. ③「総合農協分割ツール」の整備(組織変更容易に)
  4. ④准組合員への利用規制(利用制限に手がかり、無制限拡大に問題提起)

3)総合農協の危機(「分割ツール」とJAグループ再編の可能性)

  1. ①信共事業分離と経済農協化
  2. ②営農経済部門の「逆分離」の可能性
  3. ③「総合農協の危機」とJAグループの対応方向

4)ビジョンなき「農協改革」、新たなせめぎ合いの時代に

  1. ①政府の「農協改革」に明確なグランドデザインはない
  2. ②求められるJAグループのグランドデザインの明確化
  3. ③新たな段階での「せめぎ合い」の時代へ

2.ビジョンとグランドデザインをどう考えるか

1)「JAグループの自己改革について」(H26年11月6日)

  1. ①ビジョンとしての「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」
  2. ②「自主・自立の協同組合としての自己改革」
  3. ③准組合員を「パートナー」として位置づけ-地域組合化を志向
  4. ④農政と同様の改革論に走る営農面

2)三つの検討視点

  1. ①農を基軸とした「協同組織・地域金融機関」としての意義と可能性
  2. ②協同事業で農業者を支える「農業協同組合」としての意義と可能性
  3. ③農業者の利益代表組織としての意義と可能性

3.おわりに

「やらされ改革」から攻めの改革へ

焦点となる准組合員、地域社会との係わり

組合員目線からの「点検」の必要

協同組合アイデンティティの発信(ブループリント)

4.報告を受けて委員から以下のような意見が述べられた。

  1. ①農協内で兼業農家が多数派となり、兼業農家批判が農協批判につながった。
  2. ②農業者を支援する視点が大事。
  3. ③協同組合は「人」の組織なので、世代性は宿命。
  4. ④組織形態は使い勝手で選択すべき。株式会社化し、協同組合原則を定款で謳うこともありうる。