研究活動

常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第11回報告 ―

○ 開催日時
2015年4月27日(月) 18:00~20:40
○ 開催会場
プラザエフ4F エミール
○ 参加者
8名 (委員4名、オブザーバー3名、事務局1名)
テーマ
報 告 :
藤巻 美由紀 氏
テーマ :
「農協法改正案について」
概要

 JA全中の藤巻氏より標記テーマについて以下の報告があり、意見交換を行った。

(1)自民党の文書「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」では、「農協改革の目的は、農業。農村の発展」であるとし、以下を謳っている。

  1. ①農協が農業者の所得向上に向けた経済活動を積極的に行える組織になる方向で改革する。
  2. ②高齢化・過疎化が進む農村社会で必要なサービスが提供できるようにする。
  3. ③農業者が自主的に設立する協同組合としての農協の原点を徹底する。
  4. ④農協批判を終息させる。

(2)農業協同組合法の改正案の概要は以下のとおり。

  1. ①改正の趣旨は、農業の成長産業化を図るため、6次産業化、海外輸出、農地集積・集約化等の政策を活用する経済主体が積極的に活動できる環境の整備。
  2. ②地域農協についての改正趣旨は、自由な経済活動を行い、農業所得の向上に全力投球できるようにすること。各条では以下のような事項が定められている。
    1. i)事業活動での高い収益性の実現。
    2. ii)農協事業の利用強制の禁止。
    3. iii)理事の過半数を“経営のプロ”とすることの義務化。
    4. iv)組織の一部の株式会社や生協等への組織変更可能化。
  3. ③連合会・中央会は、地域農協の自由な経済活動をサポートする。
    1. i)全農は株式会社に組織変更できる。
    2. ii)都道府県中央会は、相談・監査・意見調整などを行う農協連合会に移行する。
    3. iii)全国中央会は意見調整などを行う一般社団法人に移行する。全中監査の義務付けは廃止する。

(3)報告を受けて委員から以下のような意見が述べられた。

  1. ①農業の衰退の元凶は農政だが、農協法改正はその責任を農協に転嫁している。
  2. ②改正の背景には、協同組合主義に新自由主義を対置させるイデオロギー闘争がある。
  3. ③改革の効果は、農業生産法人の経営の発展ではなく、大多数を占める個人農業者の所得向上につながるがどうかではかられるべき。