研究活動

常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第10回報告 ―

○ 開催日時
2015年3月30日(月) 18:00~20:00
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参 加 者
9名 (委員5名、オブザーバー3名、事務局1名)
テーマ
報 告 :
山本 昌平委員
テーマ :
「生協のコーポレートガバナンスと内部統制について」
概要

 弁護士の山本 昌平委員より標記テーマについて以下の報告があり、意見交換を行った。

(1)コーポレートガバナンスによるコンプライアンス体制の構築も内部統制(リスク管理)の構築も、経営者の責任である。

(2)内部統制は、消費生活協同組合が理念や目的の実現に向けて、健全で持続的に運営・発展するために、業務の適正さを確保し、リスクを防止する仕組み・体制といえる。

(3)生協法の改正は、生協の規模拡大・社会的影響力の増大という状況に鑑み、生協の理念・目的を実現するためにも、会社法のガバナンスの仕組みを取り入れる必要から行われた。生協の健全で適正な事業運営や経営管理は、組合員のみならず、社会からも求められている。

(4)理事会を機関として位置付ける新生協法下では、内部統制システムの構築・運用も理事会が担うのが法の趣旨に合致する。

(5)生協組織の拡大・複雑化により、理事会が形骸化していく傾向がある。その是正は現代的課題であり、以下のような方向性が考えられる。

①理事会の実質化(人数の絞り込み、事前説明)。

②理事会を実質化するために、前段階でのさまざまな会議体での議論をより深化させ、理事会において十分な説明責任を果たしていくという方向性。

③監事が上記前段階で意見を述べて監査体制を実質化する。

(6)その後、主に以下のような点について意見交換を行った。

①常勤役員をけん制する組合員理事の役割は大きい。

②不正事件発生のリスクの観点からは、生協のコーポレートガバナンスはそれなりに健全である。