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研究活動

公益財団法人生協総合研究所 2020年度第11回公開研究会
感染予防体制下での子どもの貧困

○ 開催日時
2021年2月12日(金)15:00~17:15
○ 開催会場
Zoom配信
○ 参加者
192名
プログラムと報告者
講演
阿部彩(東京都立大学教授)
「子どもの貧困 現状からみる課題」
事例報告
三浦すみえ(フードバンク八王子えがお事務局長)
「食でささえよう 人 地域 未来」
コメント
近本聡子(生協総合研究所研究員)
概要

 予防体制下は子育て世帯に大きな影響を及ぼしています。今回は子どもの貧困にフォーカスし、相対的貧困の動向、子どもの年齢層での格差、などを最新データで示していただき、今後の課題解決への参考にしていただけるようこの分野における第一人者に解説いただきました。また、地域のリソースとして多数の生活協同組合と連携しながらフードバンク活動を広げている八王子えがおの事務局長に活動経緯や課題、行政対応などをお話いただきました。

 阿部彩氏の講演では、日本の子どもの総体的貧困率はやや減少傾向にあるが、まだ7人に1人の割合で相対的貧困率が存在し、先進国のなかでも高いことが示されました。幼児は社会保障としての保育が少し浸透してきた効果(仮説)もあり貧困率は低下してきているが、義務教育終了後の年齢層から大学生までの相対的貧困率が高く、この年齢層への意識的な支援が重要です。また、シングルマザーもまだ半数近くが相対的貧困層となっています。阿部氏の分析からは、平時からの支援が大変重要であること、エンゲル係数からみても少し成長した子どものいる子育て世帯への支援がより重要ということがわかります。

 三浦すみえ氏の事例報告では、立ち上げ当初は地域の企業では協力が得られず苦労しつつ、コープみらいの「地域クラブ」などのスキームを利用して、少しづつ活動を広げてきたことが伺えた。協同購入だけの生協もセンター丸ごとにフードドライブでの協力があったこと、ダイエーは早い段階から協力してくれたこと、次第に信用が生まれ、市行政や企業とも連携し安定してきたことなど

 近本によるコメントでは、生協は経済体であり、事業を通じてもっとも適合的な貢献のできる貧困課題の解決スキームとして、フードバンクシステムという「市場以降」をどう構築するか、地域に根付いた活動とミックスするか、が重要と分析しました。