公益財団法人生協総合研究所 2020年度第1回公開研究会
「都市と若年世代の未来~生協はどのような地域連携に参加できるのか~」
- ○ 開催日時
- 2020年4月4日(土) 10:00~15:10
- ○ 開催会場
- ウインクあいち
- ○ 共催
- 特定非営利活動法人 地域と協同の研究センター
- ○ 参加者
- 約60名
プログラムと報告者
- 基調講演
- 成元哲氏(中京大学現代社会学部教授)
「社会的結合の三つの原理とその混合の可能性」
~子ども食堂が切り開く互酬・再分配・交換の新しい混合~ - 問題提起①
- 近本聡子(生協総合研究所)
「人口移動と家族形成・子育て支援の状況から」 - 問題提起②
- 向井忍氏(地域と協同の研究センター)
「生協は若年層にどのように関わっているか」
問題提起に基づく意見交換
概要
国立社会保障・人口問題研究所が予測していたより 2 年早く、2019 年の出生数は 86 万人台と初めて 90 万人を切りました。減少の一途をたどる若年層。そのニーズにどのように応え、取り込んでいくのかは、地域生協にとって未来を左右する大きな課題です。
この研究会では、子育て支援や、都市部に集中する人口、国際化する労働力が若年層の就労に与える影響など、様々な視点から問題提起をし、参加者の皆さまと課題解決の道を考えていくことを目的に、地域と協同の研究センターと共催で開催しました。 当初、名古屋の会場での開催を計画していましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンラインで開催し、100名を超える参加申込がありました。
成元哲氏による基調講演では、ある狭い地域での互酬・再分配・交換を循環させることが大変重要になるだろうという予測のもとで、子ども食堂がその担い手になりうるという見解、またフードバンクやエネルギーなどのサードセクター運営が今後のカギになってくるのではないかと提示されました。
近本聡子の問題提起では、少子化はさらに進行し、2035年には無子化がみえ、社会はそれに対応すべく政策変動があるだろうと予測し、生協は市民社会セクター(サードセクター)を支援できる中間支援組織として機能するのがよいのではないかと提示しました。
向井忍氏の問題提起では、生協のデリバリー部門のコロナ禍での伸びや利用実態を解説された上で、地域に若年層が定着するには事業継続も必要であり、また事業を地域を支える形態にさらに工夫していく必要があるのではないか、という提起をされました。
今回のオンライン開催では、質疑はzoomのチャット機能を利用。参加者はそれぞれ、感想や質問をリアルタイムに送信することができ、講演者はその場で対応することになります。成氏の基調講演を受け、子ども食堂やそのほかの団体については地域での互酬や再分配をつなげることを意識して活動していくとよい、ということは、参加者の中で定着したようでした。近本の「中間支援組織」機能についての質疑にたいしては、かなりの生協が助成金を出すことには取り組んでいるが、小さな地域、できれば小学校区にひとつの何らかの居場所や拠点が必要で、それができていないところでは過疎化が進むのではないかと回答しました。向井氏のデータについては、興味深い最新の事業動向に納得したという反応が多くありました。