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研究活動

公益財団法人生協総合研究所 2018年度第5回公開研究会
大学生の読書を考える ~学生の成長、大学教育をめぐって

○ 開催日時
2018年11月30日(金)14:00~17:20
○ 開催会場
プラザエフ5階会議室
○ 協賛
全国大学生活協同組合連合会
○ 参加者
49名
プログラムと報告者

報告①
「大学生の読書離れと大学教育における対応 ~文化学園大学での実践から」
吉田昭子(文化学園大学現代文化学部 教授)
報告②
「いまどきの大学図書館と大学生の読書」
佐々木俊介(桜美林大学図書館メディアセンター 事務長)
報告②
「『専門外の専門書を読む』ことの意味 ~知と出版の最前線から」
鈴木 哲也(京都大学学術出版会 専務理事)
概要

 本研究会は、『生活協同組合研究』誌2018年5月号特集「本を読まない大学生」の問題意識、すなわち「学生時代に本を読む習慣を失ったまま社会に出ていくとどうなるのだろうか?」「 日本の社会問題・教育の問題として深く考えてみる必要があるのではないだろうか?」をふまえ開催しました。研究会には、教員、図書館職員、学生、出版書籍業界、大学生協や地域生協など、様々な立場の方が参加しました。

 はじめに、吉田昭子氏より「大学生の読書離れと大学教育における対応 ~文化学園大学での実践から」、続いて、佐々木俊介氏より「いまどきの大学図書館と大学生の読書」、最後に、鈴木哲也氏より「『専門外の専門書を読む』ことの意味 ~知と出版の最前線から」というテーマで、研究・実践報告を受けました。

 続いて参加者による討論に入り、最初に帝京大学の学生2名より、同大学の「共読ライブラリーと共読サポーターズの活動」が紹介されました。次に、愛知教育大学非常勤講師の牧恵子氏より「俯瞰的多読と比較レポート」の実践報告が行われました。

 討論では、地域生協の組合員理事から、「大学生になった自分の子供を見ていると、1人はおとなしく本好きだが、もう1人は活発な子で本に興味を示さない」と発言がありました。大学教員から、授業で「新書30冊を読む」ということをやっているが本を読むというのはある意味でトレーニングであり、一定量(冊数)の本を読むことで読む力が身についてくる、という実践報告がありました。学生からは、「先生に学生に向けて本の紹介や推薦を依頼しても、『忙しい』と断られることも多い」「図書館であまり先生を見かけない。図書館に来ていないのではないか」という発言がありました。

 報告と討論を通じて、大学生に読書を進める取組みや工夫が色々な大学で行われていること、大学の教育の中で位置づけることや図書館・教員の連携が重要であることなどが、明らかになりました。また、社会的な問題として、学術研究の評価、研究者の「タコ壺化」など知をめぐる問題に目を向けていくことも重要であることが分かりました。

 参加した方々からは、「大学における読書教育の様子がわかった」「“なぜ本を読まないか”を改めて考える良い機会でした」「学生と同様に教員も変化している、というのが参考になった」「読書の定義について考えさせられた」など、大学生の読書問題を考えるとともに、「本を読むこと」に関わって様々な発見や気付きが得られたと好評でした。