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研究活動

公益財団法人生協総合研究所 2017年度第4回公開研究会
国際協同組合研究の最新動向 ~ICA研究会議2017報告をベースに考える~

○ 開催日時
2017年8月31日(木) 17:30~19:30
○ 開催会場
日本生協連コーププラザ4階会議室
○ 参加者
45名
プログラムと報告者

報告①
「ICA研究会議と最近の協同組合研究の動向」
 栗本 昭(法政大学大学院連帯社会インスティテュート教授 生協総研理事)
報告②
「協同組合による地域の人々の包摂の仕方を国際比較でみてみよう」
 近本聡子(生協総合研究所研究員 法政大学大学院講師)
コメント
前田健喜(JC総合研究所主任研究員 日本協同組合学会・JJC事務局)
概要

 報告①では、ICA-CCR(国際協同組合同盟の研究委員会)理事(当研究所理事)の栗本昭氏から、近年の世界協同組合研究の動向について報告していただきました。1958年にヨーロッパの研究者が組織されて大会が始まり、その後、1988年にストックホルムで第一回の世界研究会議が研究者を中心に開催されたこと。また最近の研究テーマとしては、協同組合のガバナンスと組合員参加、それがレジリアンスを高めることができるのか、協同組合の持続可能性、協同組合のアイデンティティ、特に協同組合原則についての指針や事業報告、各国の法的な枠組み、協同組合の資本とは何か、どうあるべきか、という点が中心であり、これらに関連する研究が多いことをあげました。
 そして、協同組合研究の中心となっている機関が世界にはいくつもあり、それらを中心として、「諸統計」「歴史」「法制度」の研究と事例の蓄積が進んでおり、今回の世界研究大会では「地域の包摂」というテーマを中心課題にすえたシンポジウムをメインとして、協同組合が地域包摂をどのようにしていけるのかが議論されたことを報告しました。

 報告②では、当研究所の近本研究員が、多くの先進国が直面している少子高齢化と過疎化に対応する福祉レジームの激変に日本も直面しているが、それに協同組合が参画・寄与できていないという仮説を提示しました。要因として、現行の消費活動を前提とした生活協同組合法では地域のニーズにあった法人がほとんど作れないためであることを挙げました。
 地域に密着したニーズ解決には伝統的「地域」復活ではなく、市民の生活創造の視点で、自由平等に反するムラ社会文化を変え、男尊女卑や家格の差別を排除しながら、1)地域ごと(市町村が政策の単位)の協同協議会・連絡会をつくること(一例として島根県の「おたがいさま活動」や「八王子子ども食堂」) 2)地域のニーズを形にする当事者性 3)中間支援組織の形成が重要であることを提起しました。特に大きな協同組合にとって、「中間支援組織形成」を地域ごとに支援できる体制をどのように構築するのかが、協同組合方式で人々を包摂するために重要であると述べました。NPOが5万組織以上となった現在の福祉レジーム改変では、協同組合方式での参画は「かなり遅かった」と分析せざるを得ないこと。韓国ではNPOの替わりにに地域協同組合が1万を越え、このムーブメントに注目する研究者数も多いという点についても言及しました。

 以上2つの報告を受けてコメントとして、JC総研の前田氏より、JJCやIYCの場で、これらの地域包摂について協同組合間でもできることをみていきたいというお話があり、地域での連携が深まる可能性を大いに感じました。