研究活動

消費税増税後の家計のあり方を考える

○ 開催日時
2015年6月30日(火) 13:00~16:45
○ 開催会場
四ツ谷・プラザエフ 8階 スイセン
○ 参 加 者
64名

プログラムと報告者

調査結果の概要報告
「『2014 年全国生計費調査』と『2014 年消費税しらべ』の結果について」
 中村良光(日本生協連 組合員活動部)

生協の家計簿活動報告「2014 年度家計簿活動報告」
 白石みゆき(エフコープ生活協同組合 組合員活動部)

比較研究「他の研究調査では消費税増税の影響をどのように分析しているか」
 宮﨑達郎(生協総合研究所)

特別報告「『くらしと家計の相談室』の相談からみたくらしと家計の現状」
 上田 正(日本生協連 福祉事業推進部)

概要

 生協総研では日本生協連との共同研究で全国生計費調査を行っている。2014年の調査結果は日本生協連より「家計簿からみた私たちのくらし~2014年日本生協連 全国生計費調査より」としてまとめられ6月に刊行された。2014年は4月から消費税率が5%から8%に引き上げられ、家計は大きな影響を受けている。

 日本生協連中村氏からの14年度まとめ調査結果報告では、組合員家計が消費を増加させずに消費税をなるべく吸収しようと努力することが数値でも読み取れることや、地域での生活の差があきらかになった。首都圏は生計費規模が大きい。

 調査参加生協の現場からの報告では、エフコープの白石氏から、福岡は消費支出が高く自動車関係費が全国でももっとも高い状況や、貯蓄率はあまり高くない状況など分析があった。全国との比較で組合員活動や、個々のモニターの生活設計に寄与していることが分かる興味深い報告であった。

 生協総研の宮﨑達郎研究員の報告では、研究者の立場から、他の調査結果から消費税増税影響がどのようにみえるのか、という視点での比較分析がなされ、家計簿を付けている人の集団が付けていない人たちのことを推し量るにやや不足するという結論も興味深いものであった。調査によってかなり見え方が異なる。総額表示のほうが消費者からみて買いやすいが、実態は総額よりも税抜価格表示のほうが消費に繋がるという結論の一つの点で会場からも質問があり、議論が盛り上がった。

 日本生協連の上田氏からは、みやぎ生協で立ち上げた「相談貸付事業」において生活相談・貸付の実態からみた生計費の困難状況がどう発生し、貸付でどう解決するのか、という具体例もありこの事業の重要性が示された。特に生活保護以上、社会福祉協議会貸付レベル以上だが、金融機関からの融資が難しい場合が多い人々など、層としても把握できる状況がある。

 生計費の管理上の課題を考えるとともに、これらの家計簿活動の意義を再確認するよい機会となった。