研究活動

学習会 ― 社会保障問題学習会 第1回報告 ―

○ 開催日時:
2013年10月3日(木)14:00~15:45
○ 開催場所:
主婦会館プラザエフ8階スイセン
○ 参加人数:
89人(会員生協、日本生協連、生協総研等)
講師・テーマ

 駒村康平氏(慶応義塾大学経済学部教授)
 「年金制度の課題と改革の構想」

概要

 はじめに、国民会議の議論について概要をご紹介いただきました。医療、介護が主で子ども、年金、雇用は十分議論されなかったこと、また、消費税増税分が本当に社会保障の充実と次世代への付回し防止に使われるかどうか懸念しているとのことでした。
 日本の高齢化率は将来40%程度で安定する見込みで諸外国の30%と比べて非常に厳しいこと、特に75歳以上で27%まで到達するという推計をご紹介いただきました。年金の支給開始年齢が遅くなるのは避けられず、働き方や健康づくり等を重視する社会に変えていく必要があるということでした。一方で、これ以上国債の累積が増加し外資が金融上のポジションをとれば国債暴落の危険もあり、消費税増税は必要という見解をお話いただきました。
 人口の見通しとして、今後75歳以上人口の絶対数、高齢単身者が主に大都市圏近辺で急増することが非常に大きな問題で、介護休業や福祉サービス等の充実が急務とのことでした。
 他に、マクロ経済スライドにより年金支給額が現役世代の賃金水準の50%を下回らないよう調整されており、5年に1度年金制度に問題がないか等をチェックする仕組みであること、年金積立金は報道ほど深刻でないことなどについてご説明いただきました。
 年金制度の課題としては、財政安定性の確保により若い世代にも安定性を保障すること、給付水準を下げる場合生活が困難な人に対応すること、非正規等働き方に関らず制度を導入することの3点あり、これは世界各国の年金改革に共通しているとのことでした。
 最後にあるべき年金制度として、将来の生活保護急増を防ぐ視点から、現行制度を修正しながら、なるべく多くの人が厚生年金に入れるようにする、非正規までは所得比例の保険料に加入する、賃金が少ない人には税財源で補足的に給付するという形を提案いただきました。