研究活動

生協総合研究所 「研究員講座」第2回を開催しました。

○ 開催日時:
2015年12月14日(月)
○ 開催会場:
プラザエフ5階会議室
○ 参加人数:
18人
講師とテーマ

 「協同組合論 II 」 鈴木 岳(生協総合研究所)

概要

 第2回「協同組合論 II 」は、戦前~現在までの日本における(地域)生協運動の展開を概観しつつ、生協に関する主要先行研究を整理し紹介した。

 「生協法(正式名称:消費生活協同組合法)」が成立し、「生協」が定義されたのは戦後1948年のことであるが、その運動の起源は明治期に入ってからである。生協運動とその研究は、内容によって1900~1940年頃(消費組合活動の生成)、戦後の1945~51年(生協の誕生)、1950~60年代(地域生協の創設)、1970~80年代(地域生協の成長)、1990年代(地域生協の危機)、2000年以降(格差拡大社会と生協)に分けることができる。

 これら研究史の中で、例えば「福島結語」(1970年)について、研究者と実践者との間で意見が大きく異なったという点で特徴的である。この時期は、相次いで登場した大型店舗に対し安易な経営戦略的観点で対処すべきではないとする研究者に対し、現実に立った考え方をすべきとする実践者という意見の対立があった。また2000年以降は、生協が格差社会と共振的ではないかという問題提起がなされる等、社会の変化を受けて生協の意義と役割の見直しが求められた時期であった。

 本講義はこのように研究史を整理し、今日における生協の位置づけや使命について再考を促すものであった。当日は参加者からも多くの意見が出され、活発な議論が行われた。(生協総研 中村由香)