学習会 ― 生協総研憲法改定問題連続学習会 第2回開催報告 ―
概要
2013年6月6日(木)、藤原真由美氏(日弁連憲法委員会事務局長)をお招きし、「今、憲法のなにが、どう変えられようとしているのか?」と題して、憲法の基本原則と自民党憲法改正草案の考え方を中心にお話いただきました。
日本生協連、会員生協、生協総研から22人が出席し、講演後に質疑応答を行い終了しました。
1.開催概要
- ■日時:
- 2013年6月6日(木) 14:00~16:00
- ■場所:
- 主婦会館プラザエフ 5階会議室
- ■講師:
- 藤原 真由美氏(日弁連憲法委員会事務局長)
- ■参加人数:
- 22人(日本生協連、会員生協、生協総研)
2.内容
藤原さんの講演では、はじめに、現在進行している「改憲」の動きとして、①自民党憲法改正草案(以下、改正草案)のように全面的に改正するもの、②96条をまず改正しハードルを下げるもの、③集団的自衛権を認める法律を作る解釈改憲、の三つがあることをご説明いただきました。その上で、改正草案は憲法の基本原則をどのように変えようとしているのか、二つの条文を見比べながらお話いただきました。
- [憲法前文の全部取り替え]前文の中に、日本国憲法の3つの基本原則「国民主権」、「基本的人権」、「永久平和主義」がすべて盛り込まれている。改正草案は和や家族など日本の伝統的な文化を重視しており基本原則を尊重していない。憲法の改正ではなく破壊であり壊憲ではないか。
- [国民主権主義の変容]改正草案では、天皇は象徴でなく元首の地位を持つとされ、国を代表する者、政治的権限を持つという解釈につながるもの。また、「国旗、国家」を規定し国民の尊重義務を明記している。国民主権主義が変容することになる。
- [永久平和主義の変容]第二章「戦争の放棄」は、改正草案では「安全保障」と変化する。自衛権、国防軍の保持を明記している。海外派遣、集団的自衛権行使、国内の治安出動を認めるもの。また、第九章「緊急事態」を新設し、緊急事態宣言の効果を明記。戦中の戒厳令を想起させる。
- [基本的人権主義の変容]:日本国憲法の人権保障規定の構造は、第11~13条が総則的規定で、第四~第九章では基本的人権を保障するための統治機構を定め、最後に第十章で「最高法規」を明記している。人は生まれながらに自由平等であるという天賦人権の思想に基づいており、これは世界で国民が勝ち取ってきた歴史の成果。一方改正草案では、天賦人権説を否定し、権利は国によって与えたものということになる。改正草案12条は、権利には責任が伴うし義務がある、公の秩序に反しないように権利を行使する必要があるとしている。本来憲法とは国に縛りをかけて国が守るべきことをまとめたものであり、改正草案は、憲法という性格を全く失うということになる。
続いて、96条の先行改正について、諸外国と比べて日本の改正手続きが困難とは言えないことや、権力に縛りをかけるのが立憲主義であり、法律のように多数決で改正できるとしたら立憲主義が崩壊すること、中身を抜きに手続きのハードルだけ議論することは本末転倒であること、等のお話をいただきました。
質疑応答では、参加者から、「憲法審査会の動きについて」「危機感を一般の方に伝えるにはどうすればよいか」等の質問が出されました。
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