2011年度 第2回公開研究会 報告
「生協総研賞研究奨励助成論文発表会」
- ○開催日時
- 2011年6月29日(水) 13:00~17:00
- ○開催会場
- 東京大手町・JAビルカンファレンス4階 401A・B会議室
- ○参加者
- 総研賞選考委員も含め43名
- ○趣旨
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2009年度(第7回生協総研賞)の助成対象となり、大震災により直前に開催を中止した「研究奨励助成論文報告会」の報告者のなかから、特に生協に関連する3つの論文の公開研究会を改めて企画しました。生協が地域社会において果たすべき役割について、展望することを含意としています。
総研賞選考委員・樋口恵子氏に開会あいさつを頂いたのち、各位の報告がなされ、コメント・質疑に入りました。
報告1「昭和戦前・戦中期における消費組合 家庭会・婦人会の活動について」
井内 智子(東京大学大学院博士課程、生協総合研究所研究員)
コメント:鈴木 岳 生協総研客員研究員
昭和初期の神戸消費組合家庭会の活動と西郊共働家庭会の活動について、さらに1931年以降の婦人参政権獲得運動の退潮後は現実路線の転換へと至る女性運動と実践運動としての消費組合との関係まで、広範な報告となった。質疑では、「革新」的なものについて、「家庭民主主義の提唱」をめぐって、生活改善運動(1919年)と婦人会との関係について、プロレタリアの輜重隊論について、活発かつ多角的な議論がおこなわれた。(鈴木)
報告2「地域密着型ケアに生かす生協福祉の特性と課題~宅老所の経験をどう学び、どう生かすか」
橋本 吉広(地域と協同の研究センター理事)
コメント:山口浩平 生協総研研究員
介護保険制度の改正が進む中、注目される地域密着型ケアの経験であるが、今後の生協福祉にどのような示唆があるかという点を中心とした報告がなされた。議論の中では、生協が果たしうる役割や、ケアを担う人々の労働のあり方など多様な指摘がなされた。(山口)
報告3「社会的企業論からみたコープさっぽろによる過疎地域への大型店新規出店事業の評価分析」
森 傑(北海道大学大学院工学研究科教授)
コメント:林 薫平 生協総研研究員
コープさっぽろの赤平店経営について、同店で導入している買い物バスの効能を検証する研究成果が公表され、さらに小学校の廃校跡地の再活用を中心とする「まちの整体」の考え方の提案があった。ついで30分程度の質疑応答を行った。質疑に応える中で、同地域への出店は、投資効率よりも組合員満足を追求する生協でこそ可能な社会的貢献であったとの評価が述べられた。また現在、宮城県気仙沼市の大震災被災地で模索されている集団移転について、まちづくりの視点からの情勢認識が語られた。(林)