生協総合研究所とは

理事長挨拶

代表理事 理事長 中嶋康博
代表理事 理事長 中嶋康博

 2024年度は、第10次中期計画で定めた目標を着実に前に進めることに尽力した一年でした。そこではデジタルに支えられた研究活動の推進と研究成果の公表に努めてまいりました。以下、本年度の主な取り組みを6つ紹介いたします。

 第一に全国研究集会は「地域からつむぐ協同組合のアイデンティティと明日(あした)」をテーマに開催し、2025年国際協同組合年に向けたプレイベントとして、協同組合のアイデンティティの議論を深めました。来場44名、オンライン90名の当日参加があり、事後にオンデマンドで226名に視聴いただきました。

 第二に公開研究会については来場・オンライン併用により8回開催し、総計で会場に126名、オンラインで763名の当日参加者を得るとともに、事後にオンデマンドで658名に視聴いただきました。この参加者数は昨年と比較して大幅な増加となり、オンライン化の成果が確実に現れています。

 第三に常設研究会としては、コロナ禍明けの2023年度に発足させた「社会的連帯経済研究会」、「社会参加とネットワークに関する研究会」、「市民活動支援研究会」を引き続き開催し、それぞれ通算で17回、18回、11回の研究会を重ねてきました。2025年度にそれぞれ取りまとめを行うことになっています。また第19期を迎えた「生協共済研究会」については2024年度に4回開催しました。

 第四にアジア生協協力基金においては国際協力助成企画5件、一般公募助成企画7件を対象に助成しました。前年度までのようなコロナ禍での制約はなく、順調に活動を支援することができました。ただ一件だけ現地の政情が不安定であることが理由で完了できない事案がありました。本件についてはこの後も研究所としてケアしていく予定です。

 第五にJ-STAGEを利用した『生活協同組合研究』『生協総研レポート』のデジタルアーカイブ化を進めました。2024年度は2002年度までの研究誌の論文等を公開しました。J-STAGEを利用した閲覧や論文ダウンロードの件数は年々増加しています。これらの記録から過去の論文への関心も高いことが分かります。デジタルアーカイブ化は研究成果を広く公開することになり、本研究所の公益活動の活性化に大きく寄与しています。

 第六に日本生協連からの委託を受けて、全国生協組合員意識調査を実施しました。これは3年に1回実施する大規模調査で、生協活動の実態を組合員の意識の面から評価するものです。生協活動の方針を検討する上で参照すべき基礎データを構築すべく、調査の設計・実施・集計・分析に取り組みました。

 全国研究集会の説明でも触れた通り、2025年は国際協同組合年であり、現代社会における協同組合の意義をあらためて振り返り、未来に向けた役割を再考する節目の年であると理解しております。そのことを踏まえて「生協のシンクタンク」として一層活発な研究活動を進めてまいります。皆様の変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。