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刊行物情報

生活協同組合研究 2018年11月号 Vol.514

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日本型雇用システムの現状と課題

 2018年6月29日、働き方改革関連法案が参院本会議で可決された。この法律は、2019年4月1日から順次施行されることになっている。残業時間の上限規制や有給休暇取得の義務化、女性の活躍推進や同一労働同一賃金など、その内容は多岐にわたっている。一見したところ、労働者にとってより良い働き方へと結びつきそうにも思えるが、法案にもりこまれた「高度プロフェッショナル制度」は、過労死を助長することが懸念されており、残された課題は大きい。

 この法律を受けて、従来の雇用慣行をどのように変えていくのか、現場レベルでは模索が続きそうだ。このような背景から、本号では「日本型雇用システムの現状と課題」と題した特集を組み、現在の雇用システムの何が問題で、いかなる改革が必要なのかについて整理しようと考えた。

 本特集の論者と内容は以下の通りである。冒頭の濱口桂一郎氏には、日本型雇用システムにひそむ根本的な問題とは何かを総括いただいた。続いて山田久氏には、欧米の賃金制度と比較して、日本政府が提案する同一労働同一賃金制度にどのような特徴と課題があるのかを整理いただいた。近藤武夫氏には、障害のある人々が働きやすい雇用のあり方について論じていただいた。また金井郁氏には、正規・非正規間の処遇格差と対応策について、松原光代氏には、女性活躍推進を実現するために必要な雇用形態の改革案を、それぞれ提起いただいた。本田一成氏には、小売業の労働組合の歩みから、現在の働き方改革に欠けている視点とは何かを示していただいた。最後に、村田二三男氏には、生協職員の労働環境や就労満足度について他流通・小売業との比較の結果をまとめていただいた。

 女性の労働力率は年々高まりつつあるが、出産退職するものは依然として多い。働きたいと希望しながらも働いていない女性のうち2割が、「出産・育児のため」を理由に挙げている。1ヵ月の残業時間が「過労死ライン」である80時間を超える正社員のいる企業が全体の2割以上であることを考えると、家庭と仕事の両立どころか生存自体が脅かされてしまう。長時間労働をする男性正社員を標準モデルとした、従来の雇用慣行を変えなければならないのは必至である。本誌が、これまでの働き方を見直し、より公正でより快適な働き方への変革につながれば幸いである。

(中村 由香)

生協総合研究所では、2017年4月から「ワークライフバランス研究会」を実施している。この研究会では、地域生協の労働現場の課題を明らかにし、具体的な解決策につなげていくことを目的としている。2017年度の研究会の成果は、『生協総研レポート』No.88として近刊される。関心のある方は併せてご覧いただきたい。

主な執筆者:主な執筆者:濱口桂一郎、山田 久、近藤武夫、金井 郁、松原光代、本田一成、村田二三男

目次

巻頭言
ワクワク・ドキドキ(本田英一)
特集 日本型雇用システムの現状と課題
日本型雇用システムの根本問題(濱口桂一郎)
同一労働・同一賃金にどう取り組むか(山田 久)
「超短時間雇用」という新しい働き方の現状(近藤武夫)
パートタイマーの賃金を考える─雇用管理区分間の処遇格差をめぐる現状と対応施策─(金井 郁)
女性の就労と日本的人事管理─ダイバーシティ経営の実現に向けた今後の対応─(松原光代)
小売業労働組合における働き方改革の原型─1970年代の腱鞘炎対策を素材にして─(本田一成)
コラム 生協職員の意識実態と人材育成(村田二三男)
時々再録
天に唾する話(白水忠隆)
本誌特集を読んで(2018・9)
(塩入雄一郎・山縣宏寿)
研究所日誌
2018年度(第16回)生協総研賞・助成事業
公開研究会
「生協は若年層にどう向き合うか」(11/22・京都)
「大学生の読書を考える」(11/30・東京)
「韓国の生協」(12/12・東京)
「人生100年時代のライフプランニング」(2019・2/1・福岡)