第1回 2008/05/26 |
報告:生協の資本・会計問題に関する問題意識
- 出資金に関する生協法の枠組みとして,返還義務のある自己資本であること,その多少が議決権と関係しないこと,剰余金割戻しや残余財産分配が認められていることという協同組合共通の特徴とともに,持分概念が明文上ないことという生協固有の特徴がある。
- 生協法改正における資本に関する問題意識として,国際会計基準との関係をどうするか,不分割資本を導入するか否かという問題がある。
- 会社法や各種法人法,他の協同組合法との比較研究を通じて生協の資本・会計制度に関する理解を深めたい。
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第2回
2008/06/30 |
報告:「株式会社と農協・生協の資本および持分」(関座長)
関氏は会社法における資本・持分の概念と協同組合における資本・持分の概念について比較検討を行ったが,以下のような質疑と意見が出された。次回は会計の視点から資本問題を分析する。
- 法思想と実定法規定を区別すること。
- 英米会社法とドイツ株式法の違いを明らかにすること。
- 資本については所有権,債権,社員権としての切り口から分析すること。
- 農協における非出資組合の性格を明確にすべき。
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第3回
2008/07/31 |
報告:「会計における資本概念」(小栗委員)
新会社法によって、会計における資本の概念が希薄化した。伝統的には、収益と費用の差である利益を出して当期の資本の増減分とし、経営のパフォーマンスを表す指標として注目していたが、新しい会計制度のもとでは、収益と費用の差はそれほど注目されず、「純資産の部」に雑多な項目と一緒に含まれる。代わって注目されるのは、資産と負債をそれぞれ時価(公正価値)で評価して差額を求める「包括利益計算」である。これは、投資家が知りたいことをより正しく説明するような会計への移行と理解できる。協同組合の場合にも、組合員が正確な経営状況を把握するために、この考え方を学ぶ必要はある。一方で、どこまで投資家指向の企業会計の考え方をとりいれるか、どこまで協同組合独自の「会計の慣行」を守るべきかが問題である。
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第4回
2008/08/27 |
報告:「農協の資本・会計制度」(ゲスト、明田作氏)
今回は農林中金の明田作さんに「農協の資本・会計制度」と題して,農協法における資本の取り扱い,非出資組合制度,農協の出資金・内部留保の現状と資金調達の課題,農協会計基準と国際会計基準への対応について解説いただいた。 |
第5回
2008/10/02 |
今回は井上喜之委員(日生協経理部)から、「生協の資本会計制度、内部留保の現状と問題点」、宮部好広委員(日生協法規対策室)から、「企業再編法制と協同組合」の二報告があった。出資金が負債とされた場合の問題点、企業分割法制の欠如による問題点が指摘された。
今後の進行についても議論し、来年1月に今までに上がった主要な論点を整理する回をもつことと決まった。 |
第6回
2008/11/13 |
今回は齊藤委員(公認会計士)から「協同組合の会計制度と会計基準」,栗本委員(生協総研)から「協同組合出資金をめぐる国際会計基準への協同組合の対応」について報告した。出資金制度については国際会計基準審議会と米国会計基準審議会の間で議論が始まっており、協同組合陣営の対応も欧・米で分かれているが、日本の制度を位置付けさせることは依然として課題であることが確認された。 |
第7回
2008/12/10 |
今回は井上喜之委員(日生協、経理部)から、「生協の会計基準:生協法施行規則を中心に」と題する報告を伺った。また,市民セクター政策機構の米倉専務から9月に訪問したアメリカ協同組合事業協会の国際会計基準に関するスタンスについて説明があった。 |
第8回
2009/1/22 |
関英昭座長から、日本の会社法との比較で、ドイツの企業分割法制を解説いただいた。ドイツの企業分割法制は、株式会社、有限会社、協同組合、社団、財団など多様な企業形態について、相互の間の合併、分割、事業移転の可否などを中心とする包括的で緻密なものである。 |