生協共済研究会(第3期)
 
期間 2008.4-2009.3
研究会の
趣旨・目的
 我が国の経済の混迷や暮らしを取り巻く不安が増大する中で、国民の共済に対する期待がふくらみ、地域では全国生協連、全労済、日本生協連の各生協共済が大きく前進し、厚生労働省が2006年に発表した生協組合員5915万人のうちで、共済事業のみの生協組合員は2669万人にもなっている。

 大規模になった生協共済の実態をふまえ、さらに維持・発展させるための諸課題を明らかにするため、2006年4月から生協共済研究会を開催してきた。この間に保険業法や生協法が改正され、生協共済のあり方も大きく変わろうとしている。

 こうした中で、生協共済の価値や役割を実践的にも理論的にも明らかにするため、一つの問題提起としてこの2年間のまとめを単行本にし、かつ7月にはその成果を公開研究会で生協内外に広く普及する。後半からはガバナンスなどテーマを絞って研究を続ける。

研究会の
アプローチ・方法
保険法,保険学から生協共済の一般性と特殊性を明らかにする。
研究会の
アウトプット
2年間の成果を単行本にまとめ、公開研究集会で報告する。
研究会の構成
座長  福田弥夫(日本大学法学部教授)
委員  江澤雅彦(早稲田大学商学部教授)
 恩蔵三穂(高千穂大学准教授)
 保田治助(大同工業大学教養部非常勤講師)
 平澤 敦(中央大学商学部准教授)
 岡田 太(日大商学部准教授)
 宮地朋果(慶應義塾大学非常勤講師)
 山崎博司(九州産業大学商学部准教授)
事務局  稲村浩史(全労済経営企画部次長)
 今泉信一郎(全労済経営企画部企画調査チーム)
 小塚和行(日生協共済事業センターリスク管理部長)
 西村一郎(生協総合研究所研究員)
オブザーバー  中林真理子(明治大学商学部教授、アメリカ在住)
 白石幸久(日生協共済事業センター経営企画部)
 鈴木洋介(大学生協連共済センターマネージャー)
 田中隆幸(全国生協連共済企画部部長)
研究の期間 2008年4月〜2009年3月
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日程と内容
第1回
2008/04/25
(1)保険法改正の動き 全労済 稲村浩史
(2)生協共済における環境変化と今後の展望(仮) 慶應義塾大 宮地朋果
(3)共済事業における組合員の期待とギャップ(仮) 高千穂大 恩蔵三穂
(4)今期の研究会について、公開研究会の企画

(1)「保険法改正の動き」(全労済 稲村浩史)では、国会における最終段階となった状況の報告があった。与野党の議論や参考人審議などを経て、現在は衆議院に提出されて審議中で、参議院にまわって6月15日までに可決される見通し。

(2)「生協共済における環境変化と今後の展望(仮)」(慶應義塾大 宮地朋果)では、はじめに、共済と不払問題、生協をめぐる環境変化、生協共済の優位性と独自性、むすびにかえての章立てでテーマに迫るとのことであった。

(3)「共済事業における組合員の期待とギャップ(仮)」(高千穂大 恩蔵三穂)では、共済事業を取り巻く問題を内因的要因と外因的要因に分けて分析し、組合員の期待とキャップが加入の前後でどのように変化し、組合員とのキャップの是正に向けた課題を明らかにするとした。

(4)「今期の研究会について」と「第2回公開研究会の企画」について事務局提案を議論し大筋で確認した。

第2回
2008/05/30
(1)「全労済の現状と課題」 全労済 稲村浩史
(2)「全国生協連の現状と課題」 (財)生協総合研究所 西村 一郎
(3)「生協共済のコーポレートガバナンスに関する一考察」 明治大学 中林真理子
(4)「生協共済のビジネスモデル」 日本大学 岡田 太
(5)「大規模生協共済のアイデンティティー」 早稲田大学 江澤敦
(6) 7月26日のパネルディスカッションについて
(7) 報告書について

(1)「全労済の現状と課題」(全労済 稲村浩史)と、(2)「全国生協連の現状と課題」(生協総合研究所 西村 一郎)と(3)「生協共済のコーポレートガバナンスに関する一考察」(明治大学 中林真理子)は、それぞれの原稿に基づいて報告した。

(4)「生協共済のビジネスモデル」(日本大学 岡田太)では、競争優位の源泉を探るとして、3生協共済の特徴を客観的に指摘している。

(5)「大規模生協共済のアイデンティティー」(早稲田大学 江澤敦)では、制度共済において「生協らしさ」を求めてポイントを展開した。

(6)7月26日のパネルディスカッションについて、パネリストと甘利教授と小塚氏も含めてストーリーについて議論した。

(7)報告書の原稿提出について、6月13日を最終期限にすることを確認した。

第3回
2008/06/27
(1)報告書について
(2)今後の進め方

(1)報告書について
  第一部 現状編 生協とは、共済とは、生協共済とは(白石)、改正生協法と共済事業に関する主な改正点(白石)、全労済の現在と課題(稲村),日本生協連の共済の現状と課題(小塚),全国生協連の現状と課題(西村),第二部 研究編 大規模生協共済のアイデンティティ(江澤),生協共済のビジネスモデル(岡田),生協共済の強みと今後の発展可能性(恩蔵),生協共済のコーポレートガバナンスに関する一考察(中林),協同組合における理事の義務及び責任とガバナンス(福田),生協共済における環境変化と将来(宮地),生協共済加入推進の現状と課題(山崎)第三部  参考編 「保険法の見直しに関する要綱案」の内容と実務に求められる対応(甘利),ファイナンシャル・プランナーからみた生協共済への期待と課題(小野),欧州の協同組合保険の課題(田中)
  福田,山崎原稿は未完であるが、6月30日には入れる。表紙のタイトル「生協の共済」にサブとして「今 生協共済に問われていること」を入れる。

(2)公開研究会について
  パネリストの恩蔵さんが仕事の関係で無理になりそうで、岡田さんが代替えする。

第4回
2008/07/26
7/26開催 2008年度 第2回公開研究会のご案内 今,生協共済に問われていることは?
――生協法と保険法の改正を受けて――
第5回
2008/09/12
(1)コープ共済連の設立に向けて 和田長太郎(日生協)
(2)2008年度下期の研究会について 事務局

1.情報交換
 全労済と全国生協連の総会について資料に基づき報告があった

2.コープ共済連の設立に向けて  和田長太郎(日生協)
  10/23設立総会で、09年3月1日から事業開始を予定しているコープ共済連につき、レジメに沿って以下の報告がった。
  設立趣意書、3ケ年事業計画では1事業政策の考え方、2事業内容と組織体制等、3ガバナンス、4事業計画(案)

3.2008年度下期の研究会について 
  西村 一郎この下期については、1生協共済をめぐる法制度の変化の動向把握、2保険とのイコールフッティングにおけるガバナンスと競争戦略、3「共済らしさ」や「生協らしさ」の実践事例
第6回
2008/10/17
[1]全労済について 各担当(全労済)
[2]次回以降の研究会について 事務局

(1)「全労済ぐりんぼう」における事業推進展開:全労済東中健、飯倉嘉美
 ぐりんぼうは、組合員の多様な保障ニーズに対応するエリア密着型の拠点をめざし、機能としては窓口、個人宅や職場訪問、拠点イベントである。2008年現在全国17拠点で展開している。

(2)労働金庫における共済代理店の取り組みについて:全労済仲田昌純
 生協法改正との関係で労働金庫による生協の共済代理業務が可能となり、この10月から一部の地域で開始し、2009年4月より全国で展開を予定している。全労済の営業拠点約200に対し、労働金庫は774あり、今後の広がりに期待が高い。

(3)全労済における共済金の支払いについて:全労済井上卓哉、小澤宙
 2004年から共済金センターにおいて、生命系共済について作業を統一し、審査部門の処理機能の効率化、審査基準や技量の平準化をすすめてきた。
第7回
2008/11/21
[1]日本コープ共済連合会について 各担当
[2]次回以降の研究会について 事務局

1 日本コープ共済連合会について
(1)コープ共済連の共済金支払いについて:業務体制、フロー、振り込みまでの平均的な日数、誤払いをさせない仕組みなど
(2)組合員の声推進室の取り組み:「組合員の大切な声」報告集に基づき報告
(3)コープ共済連の設立について:創立総会議案書、組織概要パンフレットに沿って解説する
(4)ライフプランニング活動の取り組み:独自に開発した資料などに沿って説明する。

2 次回以降の研究会について
次回の第8回は12月19日の2:00〜5:00で全国生協連からのヒアリングをおこなう。
第8回
2008/12/19
全国生協連について 各担当

(1)県民共済グループにおける組織形態と役割分担:全国生協連共済企画部長 田中

10期連続で毎年100万人の加入が進む全国生協連の会員生協と連合会の役割分担について説明があった。事業経費率は2007年度で実に9,4%。

(2)全国生協連の広報活動について:全国生協連広報部長補佐 関

広報3媒体として、[1]パンフレットの普及員による個別配布、[2]新聞への折り込み広告、[3]新聞広告があり、それらの企画立案から実行まで連合会で行っている。ITの活用も進行中。

(3)全国生協連の共済金支払いの流れについて:全国生協連生命共済金サービス部長 直井

未払いが発生しないように、二次審査やさらには精査を業務フローに組み込んでいる。

第9回
2009/1/16
(1)「ジェロントロジーと共済」 梅田篤史(駒澤大学大学院)
(2)「保険と共済の境界について」 江澤敦(早稲田大)

1.「ジェロントロジーと共済」 梅田篤史(駒澤大学大学院)
ジェロントロジーとは、人間の老化を理解するために必要な根拠となる原因や仕組みを追求し、現実の社会生活における老化および老年期に対する要求にこたえるための学問である。高齢者が抱えるリスクと共済との関連で、身体的、物的、経済的、情報の各側面があり検討に値する。

2.「保険と共済の境界について」 江澤敦(早稲田大)
会社保険に対し共済は協同組合保険としてとらえ、どちらの事業も「保障の提供」であると共通点をおさえつつ、
 1.共済組合員への契約推進の枠をこえた共済・保険に関する幅広い学習機会の提供
 2.共済契約者からの意見反映を通じた「間接的自治の実現確保」
で共済としての違いを具現化している。

第10回
2009/2/13
(1)「格付アナリストからみた共済経営の現状」  植村 信保(格付投資情報センター格付本部チーフアナリスト)
(2)「2009年度第4期の研究会ついて(1)」、その他 事務局

1.「格付アナリストからみた共済経営の現状」  植村 信保(格付投資情報センター格付本部チーフアナリスト)
  1.まず「なぜ共済に注目しているのか」については、加入者が多くて経営の仕組みが知られてなく、かつユニークな経営組織であるとの関心から、以下について順番に展開した。
  2.金融危機と共済経営
  3.大手共済の経営分析
  4.共済と保険
そのうえで共済と保険は技術的に同じではあるが、協同組合の特徴と加入者と組合員の関係や、さらには家計のメイン保障になりつつあるとして共済への期待を述べてくれた。

2.「2009年度第4期の研究会ついて(1)」では、全労済と日本コープ共済連合会から、ガバナンス、法制度、共済制度についての問題提起をし、これをヒントに次回の研究会で各委員から各自の研究テーマを出してもらうことにした。

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