第1回
2007/4/27 |
(1)新参加者の自己紹介
(2)二期目の研究会の課題と進め方
(3)生協法改正の概要と生協からみた今後の課題
二期目の研究会の課題として「生協における共済の価値や役割を実践的にも理論的にも明らかにするため、価値や役割を構成している要素を明らかにし、その中から優先順位をつけてテーマを絞り議論や研究を進める。1年後には総研レポートで報告書を作成し、それに基づくシンポジウム開催の準備をする」ことを確認した。
次回は生協共済の全体概要とその中で研究対象をどこにするかの議論と判断をまずおこない、あわせて前期の課題として中林委員からのステークホルダー論を展開することにした。
「生協法改正の概要と生協からみた今後の課題」では、行政から生協への期待として、医療・福祉事業・生活資金の貸付けなど、相互扶助組織の特性発揮があることを紹介。特に共済については、ガバナンス、兼業禁止、共済代理店制度、財務会計への対応がポイントとなる。
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第2回
2007/5/25 |
「生協共済のマッピングについて」は、厚生労働省のまとめた「共済事業の現状」と、日本共済協会の編集した「ファクトブック2006 日本の共済事業」を使って稲村事務局員が解説した。保健と共済の全体に占める生協共済のシェアは、総資産が2.5%、契約件数11.7%、受け入れ共済掛金3.1%、支払共済金2.1%となっている。当研究会では、職域の生協共済を除いた地域の生協共済を対象とすることにした。 「生協共済におけるステイクホルダー」では、全労済とCOOP共済のステイクホルダーを各事務局から報告し、それに対してこの分野が専門の明治大学中林教授よりコメントがあり、それらを受けて全体で議論した。利の相互関係だけでなく、逆の害の関連も明らかにすることによって、生協共済のあり方を深めることができる。 |
第3回
2007/06/29 |
「県民共済事業の現状と課題」(全国生協連共済企画部長 田中隆幸)では、県民共済の歴史をふまえて現状やこれからの課題についての報告があった。1973年に埼玉県でスタートし、1982年より全国展開が進む。現在44生協で1647万人(前年比105.0%)が加入している。なお掛金収入は4154億円で前年比107.7%となっている。課題としては、改正生協法の対応や組織体制の強化、事業経費率の14.6%を下げることなどがある。「共済事業とソルベンシー・マージン」では、明治大学商学部の中林真理子教授から総論の問題提起を受け、COOP共済と全労済の現状や検討状況を報告して議論した。ソルベンシー・マージンはひとつの経営指標とはなるが、ドイツやアメリカでも混乱するので公表は禁止しているにも関わらず、どうして日本だけで厚生労働省が公表にこだわるのか疑問との意見があった。 座長に日大福田教授を全体で確認した。 |
第4回
2007/07/27 |
「FPから見た生協共済の役割と期待」(家計の見直しセンター代表 小野瑛子) 20数年前にフリーのライターとして保険・共済に関わり、分からないので自力で納得するまで勉強して書いた。商品的にはどちらも同じでも、その精神や運用がまったく異なる。利用する立場になっているかどうかが決定的な差異である。今後の生協共済への期待としては、(1)暮らしのボトムを見る、(2)賢い組合員となるための教育、(3)くらし(家計を含む)の見直しと、プロからのアドバイスを強調していた。「COOP共済と全労済のFP活動」COOP共済のFPでは、組合員を対象として(1)基礎を学ぶ「くらしの見直し講演会」、(2)もっと深く学ぶ「くらしの見直し学習会」、(3)さらに広く深く学ぶ「ライププラン講座」、(4)我が家の状況を個別に相談する「個別相談」、そして「くらし設計ワークショップ」の教訓的な活動報告があった。全労済では、職員と労組執行部を対象に展開しているFP活動の紹介があった。 |
第5回
2007/08/31 |
「制度共済の現代的課題」(早稲田大 江澤)では、2005年に小樽商科大学において開催された日本保険学会での押尾・村田論争の紹介や、その後の生協法の改正をめぐる動きの中で、保険業界からも注目されるほど大きくなった生協共済の評価についての問題提起があり、組合員自治の実態が、保険と共済の違いを浮き彫りにするとの指摘もあった。
「アメリカにおける協同組合の組織形態とガバナンス」(日大 福田)では、アメリカにおける協同組合の歴史や現状の紹介があり、ガバナンスなどをめぐっての動向などにも触れた。
研究会の今後については、3月末のまとめの骨子について事務局案を提示し、各委員からは生協共済をめぐる課題について1本の論文をまとめてもらうことにした。報告書は単行本を予定する。 |
第6回
2007/09/28 |
「協同組合の統制と理事の責任―アメリカにおける協同組合の状況と理事の責任を参考にー」(日大 福田)では、アメリカ法を検討対象とし、日本法との比較を試みることにした。
「大規模共済のアイデンティティーについて」(早稲田大 江澤)では、生協がおこなう共済の相互扶助としての特質と、社会的役割を明確にすることが大切であり、このことが生協共済のアイデンティティーにつながる。
「生協共済における組合員の公平性―コーポレートガバナンスの課題としてー」(明治 中林)では、マッピングから明確になった問題点や、生協共済における組合員間の公平性が課題との問題意識を提示した。
「生協共済研究会における問題提起」(高千穂大 恩蔵)では、共済らしさと生協らしさを明らかにし、経営の健全化や組合員の視点に立った生協共済づくりの必要性を強調していた。「生協共済における環境変化と今後の運営のあり方について」(慶応 宮地)では、生協らしい独自性の明確化が必要との指摘であった。
研究会の今後については、引き続き各委員から生協共済をめぐる問題意識や課題を出して議論することにした。 |
第7回
2007/10/12 |
「3生協共済のステークホルダー」について:つながりの強い順で
1全労済
組合員、被共済者、会員生協、役職員、労働組合、協力団体、推進者、地域社会、関係団体、指定整備工場、金融機関、行政、保険会社、マスコミ、取引業者
2全国生協連
契約者・加入者、会員生協、役職員、普及員、業務アドバイザー、関係団体、金融機関、行政、再保険会社、保険会社、取引業者
3日本生協連
契約者・加入者・組合員、会員生協、職員、生協LPA・FP、取引先、他の共済団体(国内)、ICMIFと参加団体、保険業界、マスコミ、行政、退職職員
3つの生協共済で用語や位置づけの違いについて、整理する必要性を議論した。
今後について
次回の研究会までに、事務局として(1)掛金の算出方法、(2)加入の理由、(3)推進の方法、(4)決算書について3生協共済の比較表を準備することにした。県民共済の歴史をふまえて現状やこれからの課題についての報告があった。 |
第8回
2007/11/30 |
1.平澤委員による生協共済に関する問題意識
2.全労済、COOP共済、県民共済における経営数値の比較
3.2年間の報告書について
4.日程、その他
- 「平澤委員による生協共済に関する問題意識」では、「保険商品の購入要因の比較研究」として、共済および保険会社の広告が消費者の態度形成に与える影響についての考えが展開され、それに対する委員の質疑応答があった。
- 「全労済、COOP共済、県民共済における経営数値の比較」では、独自の比較表を作成して提示した。他に加入の動機に関する調査や、加入を勧誘する方法について事例紹介があった。
- 「2年間の報告書について」は、来年の6月末を目処に単行本として出版する企画を事務局から提案して確認した。なお、その出版後に、中大で公開シンポジウムを開催することにした。
- 日程、その他
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第9回
2007/12/21 |
1.第4回公開研究会「生協法改正と生協共済のあり方」に出席
2.2年間の報告書の企画と執筆要領について
3.次回以降の研究会について
「2年間の報告書の企画と執筆要領について」では、まず事務局提案の企画書と執筆要領を大筋で確認した。現状編の全国生協連の分は、年明けに全国生協連本部を事務局で訪ねて協力の要請をして原稿にすることにした。出版の版型などのイメージについては、コープ出版と相談して次回に提案することにした。
「次回以降の研究会について」は、外部講師(R&Iチーフアナリスト植村信保)の報告や問題提起も入れつつ、報告書の企画書に沿って原稿を各自が随時出し合うことにした。現状編の4本と、これまでにまだ問題意識を研究会で出していない久保田、山崎委員と、3月から海外に留学する中林委員を優先することにした。 |
第10回
2008/01/25 |
1.2年間の報告書の企画と執筆要領(2)、全労済の報告書骨子、
2.「『保険法の見直しに関する要綱案』の内容と実務に求められる対応」:上智大学法学部教授甘利公人
3.次回以降の研究会について
1.2年間の報告書の企画と執筆要領(2)では、事務局の提案を議論し、第一部に「生協法改正」の章を付け加えることで確認した。全労済の報告書骨子に関する現状と課題の提案があった。保険法改正に関する最新の情報について、日本共済協会から資料提供があった。
2.「『保険法の見直しに関する要綱案』の内容と実務に求められる対応」(上智大学法学部教授甘利公人)では、新保険法の法体系の地位で、商法から抜け出ることの意味や新法の名称について、また要綱案の解説において、1.判例変更する改正事項、2.従来の議論を明確にした事項、3.その他の個別の改正事項についての報告があった。
まだ要綱案であり、最終の文言がどうなるのか定かでない部分もいくつかあるが、共済にも保険法がかなり適用されることになりそうで、実務面での変更も必要になり準備がいる。 |
第11回
2008/02/15 |
(1)「生協共済のコーポレートガバナンス」 明治大学 中林真理子
(2)生協共済とは 日本共済協会 白石
(3)COOP共済の現状と課題、欧州の協同組合保険 日生協 小塚
(4)次回以降の研究会について
(1)「生協共済のコーポレートガバナンス」(明治大学 中林)では、ステイクホルダーとしての組合員をめぐって、問題の所在と限定について触れた。共済として一括りにされ、生協共済であることの認識を深める重要性を強調し、そのためステイクホルダーを明確にする必要性を説いていた。
(2)「生協共済とは」(日本共済協会 白石)では、生協とは、共済とは、生協共済とはについてこれまで議論されてきた定義などの紹介があった。
(3)「COOP共済の現状と課題 、欧州の協同組合保険」(日生協 小塚)では、まずCOOP共済の現状、あゆみと理念、成長の要因としてきた信条、未来に向かってについて触れた。欧州の紹介では、二つの欧州協会の統合、地域社会の一員としての相互組織、ガバナンス強化に向けて、生協共済への示唆の項目で構成するとの提案であった。
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第12回
2008/03/14 |
(1)「生協共済における加入推進の現状と課題」
九州産業大 山崎博司
(2)「改正生協法と生協共済事業の課題」
日本共済協会 白石幸久
(3)「生協共済研究会第3期活動計画、公開研究会企画」
生協総研 西村一郎
(1)「生協共済における加入推進の現状と課題」(九州産業大 山崎博司)では、エフコープでの調査をもとにして、共済と保険の加入の実態に触れた。さらに35名の有資格者のLPA活動にも言及した。加入推進の特徴は、購買による人間関係で信頼を作り、「いつもの生協職員が窓口、だから安心」をキャッチフレーズにしていることと、購買決済のための預金口座の利用である。課題としては、学びあえる機会の増大や、引受団体の理解を深めることである。
(2)「改正生協法と生協共済事業の課題」(日本共済協会 白石)では、第1章、生協法ができたころ、第2章、生協制度見直し検討会で提起されたこと、第3章、改正生協法のあらまし、第4章 改正生協法と生協共済事業の課題、第5章、医療・福祉事業、その他の項目で、各章のポイントについての説明があった。
(3)「生協共済研究会第3期活動計画、公開研究会企画」(生協総研 西村一郎)では、事務局で準備した内容を提案し、一部を修正して確認された。 |
第13回
2008/06/27 |
(1)報告書について
第一部 現状編 生協とは、共済とは、生協共済とは(白石)、改正生協法と共済事業に関する主な改正点(白石)、全労済の現在と課題(稲村),日本生協連の共済の現状と課題(小塚),全国生協連の現状と課題(西村),第二部 研究編 大規模生協共済のアイデンティティ(江澤),生協共済のビジネスモデル(岡田),生協共済の強みと今後の発展可能性(恩蔵),生協共済のコーポレートガバナンスに関する一考察(中林),協同組合における理事の義務及び責任とガバナンス(福田),生協共済における環境変化と将来(宮地),生協共済加入推進の現状と課題(山崎)第三部 参考編 「保険法の見直しに関する要綱案」の内容と実務に求められる対応(甘利),ファイナンシャル・プランナーからみた生協共済への期待と課題(小野),欧州の協同組合保険の課題(田中) 福田,山崎原稿は未完であるが、6月30日には入れる。表紙のタイトル「生協の共済」にサブとして「今 生協共済に問われていること」を入れる。
(2)公開研究会について
パネリストの恩蔵さんが仕事の関係で無理になりそうで、岡田さんが代替えする。 |