市民ファンドの形成に関する研究会【第二期】
 

2008年4月〜2009年3月

1.研究会の主旨

 NPOやワーカーズ・コレクティブ、社会的企業が持続的な社会的活動を行う上で、資金や人材など、資源へのアクセスが限られていることが、その発展を阻んでいる要因の一つである。一方で、生協をはじめとする協同組合、公益法人等の組織は生協法の改正、公益法人改革等、その社会的な存在を再度位置づけることが要請されている。この研究会では、既存の協同組合などが有するファンドや助成金、あるいは近年のNPOバンクの取り組みを「市民ファンド」の事例として取り上げながら、以下のことを目的とする。

  1. その助成や融資の仕組みの成立している背景と現状抱える課題を明らかにする
     
  2. ファンドの持つ中間支援的・媒介的機能(資金に限らず、マネジメント支援、起業家育成、ネットワーク形成など)に着目し、その方向性を検討する
     
  3. 生協におけるファンド形成と効果的な運用についての可能性を示していく

 検討にあたっては、先行するパルシステム連合会、労働金庫、各NPOバンク等の支援組織の調査を行うと共に、支援を受けるNPO、社会的企業側からのニーズの調査も行う。これらの検討と提言により、市民活動の活性化に資すると同時に、生協の社会的役割の実践的な方向性を示すことができるであろう。

2.研究会のアウトプット

 ファンド形成における生協の可能性(資金拠出、信用保証など)について、報告書・イベントで提言。実践的なアプローチを目指す。


風見正三(宮城大学),藤木千草(ワーカーズ・コレクティブ・ネットワーク・ジャパン),木下斉(市街地経営研究機構),松本典子(駒澤大学),志波早苗(パルシステム連合会),山口浩平








第1回
2008/6/9
今回は,今後の研究会の進め方に関する基本方針を検討した。
その中で主要なテーマとして
(1)政教による地域連携型ビジネスの新しい可能性についての検討,
(2)コミュニティ・ビジネスに関する研究と実践的なサポート・センターの構築を決定した。

(1)については,「地域社会研究会」との連携の元,生協とCBの連携など特にビジネス面での地域貢献を行っている事例についての検討を深めること,
(2)については大学での講義で使用可能なコミュニティビジネスに関する教科書を来年度までに完成させること,を当面の目標とすることを決定した。

第2回
2008/8/22
報告者名および報告
テーマ:『コミュニティビジネス教科書』出版計画と計画行政学会参加について(風見) 夏期調査計画(山口)

今回は,風見委員より,次年度までに完成させる『コミュニティビジネス教科書』の案について,報告があった。今回で章立て,分担等を確定させ,今後出版社との交渉に入ることが確認された。

また,山口より,本研究会の報告書となる生協の地域連携事例集に関して報告を行い,夏期の調査計画(東海地域・東北地域)について,日程調整と調査項目の確定を行った。

第3回
2008/9/22
報告者名および報告
テーマ: 風見正三
「『コミュニティビジネス教科書』出版計画」
志波早苗
「パルシステム連合会のセカンド・リーグについて:中間支援組織論と関わって」

今回は,風見正三委員より,次年度までに完成させる『コミュニティビジネス教科書』の進行状況について報告頂き,内容について議論を行った。また,志波早苗委員からは,現在パルシステム連合会および会員生協で取り組んでいる「セカンド・リーグ」の目指すもの,およびその現段階と課題等についての報告を頂いた。

第4回
2008/10/27
報告者名および報告
テーマ: 「『コミュニティビジネス教科書』出版計画」について
11月仙台・鶴岡調査についての検討

今回は,2009年9月までに完成させる『コミュニティビジネス教科書』について,各章の担当者から,内容についての報告を頂き議論を行った。また,11月5日〜7日にかけての仙台調査(みやぎ生協関連のNPO訪問)と鶴岡調査(生協共立社と「虹」)について,役割分担,報告書の様式や聴き取り内容等の調整を行った。

第5回

 

第6回
2008/12/26
報告者名および報告
テーマ: 濱口金也
「伊予市・(株)まちづくり郡中・行政・商工会連携による地域活性化の取り組みについて」
「『コミュニティビジネス教科書』出版計画」について

今回は,2008年12月に行った伊予市調査の結果を参加したメンバー間で共有するとともに,コミュニティビジネスとしての「(株)まちづくり郡中」の取り組みについて,創設期からのメンバーの一人であった濱口金也氏(パルシステム連合会)から報告頂いた。また,成果となる出版物について,最終的な目次の調整と議論を行った。

第7回
2009/2/2
報告者名および報告
テーマ: 山口浩平
「地域社会と生協の連携−「協働」の時代の生協の戦略−」
「『コミュニティビジネス教科書』出版計画」について
生活協同組合研究でのシリーズ企画について

今回は,研究会の成果のアウトプットの一つとして公表する,地域社会と生協との連携のシリーズ企画についての検討を行った。また,執筆に当たっての分析を行う視角として,山口浩平が「地域社会と生協の連携:「協働」の時代の生協の戦略」と題する論文をもとに報告を行った。さらに,研究会の最終成果となる書籍『コミュニティビジネス教科書』の進行状況について,風見正三委員から報告があった。

第8回
2009/2/24
『コミュニティビジネス教科書』草稿の読み合わせ

今回は,この研究会の最終成果となる『コミュニティビジネス教科書』の草稿について各自から報告を行った。理論編では持続可能性とコミュニティビジネス,社会経済システムの中での位置づけ,コミュニティ・ガバナンス,マネジメントについて,実践編では協同組合論,中間支援組織論,まちづくり論など多岐にわたった内容が執筆される予定。なお,刊行は9月を予定している。

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