生活の協同研究会【第2期】
 

2004年5月〜2006年3月 事務局 栗本昭,近本聡子,山口浩平

 経済グローバリゼーションは世界各地の社会に暴力的な爪あとを残し,また拡大する格差はテロと戦争の悪循環を生み出している。他方,「自由な」資金移動により主権国家の徴税力は低下し、その所得移転による生活保障機能も衰退が危惧されている。そのなかで、例えばEUのような超国家的地域のガヴァナンスとともに、コミュニティ・レベルの地域への権限委譲によるガヴァナンスが,効果的な主体として登場しつつある。 生活を保障するうえで,政府,市場のいずれもが解決できない課題は常に存在する。しかし、従来型の家族,地域社会の機能低下も著しく,その再構築が不可欠である。今後の安心・安全のためには,日々の生活レベルでの協同としてビルトインされたセーフティ・ネットが求められているのではないか。また、ミクロからグローバルまでの種々のレベルで、市場の隙間や外側に協同のネットを張ることにより、市場の人間的制御も可能となるのではないか。その有力な主体として,様々なリソースとネットワークを有する生協や非営利組織,市民活動が位置づけられるであろう。本研究会は、以上の問題意識から現代的な「生活の協同」の論理、組織と実践的可能性を探りたい。

大沢  真理 東京大学 (座長)
御船美智子 お茶の水女子大学
竹田  茂夫 法政大学
福士  正博 東京経済大学
伊藤眞知子 東北公益文化大学
又木  京子 NPO法人MOMO理事長
高橋  晴雄








1回
2004/5/14
大沢真理委員「第1期生活の協同研究会の成果と今後の検討課題」
2回
2004/6/11
栗本昭「海外調査における事例について(イタリアの社会的協同組合)」

又木京子委員
「厚木の非営利・協同、市民がつくるセイフティネットの現場を見る」
3回
2004/7/23
厚木の非営利・協同、市民がつくるセイフティネットの現場を見る:厚木市でのヒアリング調査
4回
2004/9/24
近本聡子「カナダ ファミリーサポートリサーチ結果概要」
山口浩平「英国社会的企業調査の主眼と概要」
5回
2004/11/6
「地方都市における生活の協同の実態調査」
訪問先:庄内医療生協メディカルフィットネスセンター,総合介護センター,リハビリ病院、事業協同組合ケア付高齢者住宅「こころ」、NPO法人あらたグループホーム(3箇所)
6回
2004/12/10
大沢真理委員「ILO「より良い世界のための経済安全保障」について」
7回
2005/1/17
高橋晴雄委員「四街道市での市民の取り組みについて」
8回
2005/3/15
四街道市「わくわく市民・NPOフェスタ2005」の見学およびインタビュー
9回
2005/3/15
福士正博委員
「基本所得(ベーシック・インカム)構想の意義:エコロジーの観点から」
10回
2005/4/22
佐藤紘毅氏(市民セクター政策機構)「イタリアの社会的協同組合について」
11回
2005/6/3
欧州調査のための準備
12回
2005/7/23
伊藤眞知子委員「イタリアの社会的協同組合の文献」
  欧州調査 実施(9/5〜9/13:英国:ロンドン・レディング、イタリア:ミラノ・トレント・ブレッシア・クレモナ)
13回
2005/10/3
欧州調査の振り返り
14回
2005/11/14
渋川智明氏(東北公益文科大学)報告
15回
2005/12/5
大沢真理委員「社会的排除から「生活の協同」へ」
高橋晴雄委員「四街道における協同の実践」
16回
2006/1/23
伊藤眞知子委員「酒田・鶴岡における協同の実践」
近本聡子「子育て期の協同:非営利・協同のネットワークによる育児支援」
17回
2006/2/3
又木京子委員
「厚木における生活の協同の実践:市民の自治力とくらしのセーフティネット」

福士正博委員「タイムバンクの基本理念と実際」
18回(終了)
2006/3/3

栗本昭「生活の協同」と協同組合の役割
山口浩平「英国ボランタリー組織の変容と社会的企業の登場」

前田由貴
「精神障害者の地域生活とエンパワメント−北海道浦河町べてるの家を事例に−」

 今回で研究会は終了となり、原稿集約後、出版に向けた検討を行う。


・2006年度 第16回全国研究集会
「現代的な「生活の協同」のあり方を探る:格差拡大の中での生協の新たな役割」(2006.10)

・単行本『生活の協同―排除を超えて ともに生きる社会へ』日本評論社(2007.04)

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