●主旨・アプローチ
子育ての環境は厳しくなっている。父親は経済不況下で長時間労働、母親は経験もない子育てを一人で孤立して行う。地域のサポートもまだ十分ではなく、働く母親は条件がやや整ってきてはいるが特に専業で母親をやっている女性が孤立している状況である。生協は高齢化によって、関心が高齢者福祉に移行しているが、若い組合員への支援や、子育て期の組合員に魅力ある生協とするためにはこの分野が必要であるし、組合員の相互扶助は協同組合の理念にもフィットする。日本生協連では各地の生協の取り組みについての情報収集をおこなっているので、総研の研究会では日本社会全体の子育て支援の配置を俯瞰し、国内外の政策および事例を参照し、現在の利用者や利用からおちこぼれている人たちの調査に基づいて、今後の事業化の可能性(NPOや共同保育を含め)について提言する。特に、これまで実態が明らかになっていない父親の育児参加と参加意欲、育児に対する価値観などについての調査を行い、組合員の家庭責任を軽減し、父親の参画をうながす提言ができるような実態調査を行う。委員やゲストスピーカーの報告,モデル生協のヒヤリング,組合員アンケート等を行う。
母親を孤立させないため、また楽しい育児をするためのプレ親教育(ともに育つ)の実態もあわせて観察、資料収集する。若いカップルのライフスタイルなども視野にいれて情報を集める。
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定量調査 首都圏コープ事業連合のパルシステム組合員の若年層カタログYUMYUMの利用者から800抽出し回収率は非常に低かったが切実な意見をいただいた。回収は200余。これに加え委員のネットワークでのサンプリングで合計840人を回収。そのうち性別の分かるのは女性432人、男性377人である。父母セットで男性のこれだけの票が得られたのも一大成果。 |
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定性調査 3ヶ所(5-6人ずつ)で実施 |
●アウトプット
保育学・社会学・心理学の学際的アプローチによる実証研究研究者による現状分析と各分野からのヒアリング,現場ヒアリング(生協・行政・ネット・自主サークル),保育事業の緩和にともなう事業の可能性についての討議と提言
調査結果報告の第一弾として、くらしと協同の研究所発行「協う」10月号vol.79紙上:『「子育て」支援と父親の育児参画』(近本)
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