生活の協同研究会【第1期】
 

2002年4月〜2003年3月 事務局 栗本昭,近本聡子,山口浩平

 経済グローバリゼーションは世界各地の社会に暴力的な爪あとを残し,また拡大する格差はテロと戦争の悪循環を生み出している。他方,「自由な」資金移動により主権国家の徴税力は低下し,その所得移転による生活保障機能も衰退が危惧されている。そのなかで,例えばEUのような超国家的地域のガヴァナンスとともに,コミュニティ・レベルの地域への権限委譲によるガヴァナンスが,効果的な主体として登場しつつある。生活を保障するうえで,政府,市場のいずれもが解決できない課題は常に存在する。しかし,従来型の家族,地域社会の機能低下も著しく,その再構築が不可欠である。今後の安心・安全のためには,日々の生活レベルでの協同としてビルトインされたセーフティ・ネットが求められているのではないか。また,ミクロからグローバルまでの種々のレベルで,市場の隙間や外側に協同のネットを張ることにより,市場の人間的制御も可能となるのではないか。その有力な主体として,様々なリソースとネットワークを有する生協や非営利組織,市民活動が位置づけられるであろう。本研究会は,以上の問題意識から現代的な「生活の協同」の論理,組織と実践的可能性を探りたい。

大沢 真理 東京大学 (座長)
御船美智子 お茶の水女子大学
竹田 茂夫 法政大学
福士 正博 東京経済大学
伊藤眞知子 東北公益文化大学
足立眞理子 大阪女子大女性学研究センター








1回
2002/4/30
大沢真理 研究会の問題意識の披露:既存の「セーフティ・ネット」戦略の概括
2回
2002/6/17
福士正博 「インフォーマルな雇用について」

足立眞理子
「グローバリゼーションの《従僕》:ケア労働の国際的移転と雇用中心型貧困」
3回
2002/6/17
御船美智子「生活の自立と共同・協同について」
事務局(山口)「社会的経済の背景と現状」
4回
2002/7/22
伊藤眞知子
「ネパール低所得層女性のエンパワーメントと所得創出プロジェクト」

近本聡子「家族の協同をみる:90年代を分析して」
5回
2002/9/9
竹田茂夫:グローバリゼイションと市場原理
近本聡子:ちばコープ「おたがいさま」活動取材報告
6回
2002/10/26
国内現地調査(1)「ちばコープ・おたがいさま事業の視察」
7回
2002/12/16
又木京子氏(神奈川県議・前神奈川ネットワーク運動代表)
「参加型政治システム ローカルパーティ・神奈川ネットワーク運動の実践」
8回
2003/1/27
山形県and/or庄内地域の実践
9回
2003/2/24
齋藤緑氏(NPO法人あらた・代表理事)「NPOあらたの実践」
10回
2004/1/8
御船美智子「生活と協同を考える」

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