2008年度第2回公開研究会報告

今,生協共済に問われていることは?
――生協法と保険法の改正を受けて――

日時:2008年7月26日(金)13:00〜17:00
会場:日本大学法学部講堂
参加者:351名

 講演で萩本氏は、保険法改正の経緯、保険法の概要、保険法における共済の位置付け、契約ルールの必要性・共通性など4点で保険法改正について述べた。保険法が共済をその対象に含めることによって、保険と共済の一元化の一環と見られているが、保険の中で共済を位置付けたものではなく、全く別個なもの、民法の規定は、運営の主体が誰であろうと適用されるというのが原点で、保険契約と呼ぼうが共済契約と呼ぼうが関係が無いものとした。この後、保険法の概要を説明し、最後に共済の理念である組織原理形態を害するものではないこと、国民に広く適用される法律であること、契約のルールを明確化することによって、共済事業の更なる発展に寄与するものと結んだ。

 この後、「生活協同組合の理事の義務及び責任とガバナンス」で、福田弥夫日本大学教授が、生協法改正と組織改正、過去の負の組織問題事例、役員選出システム等で報告と問題提起した。つづいて、「大規模生協共済のアイデンティティー」で江澤雅彦早稲田大学教授が、理念論と運動論から具体論の時代に入ったとの認識に基づいて、生協法と生協共済、保険業法並みの規制の終わりと今後の共済の方向について述べた。最後に、「生協共済のビジネスモデル」で岡田太日本大学准教授が、生協共済一般のビジネスモデルとして、主要生協のモデルや競争優位を獲得するためのビジネスモデルの課題などで報告した。

 休憩後の後半は、「今、生協共済に問われていることは?」と題してパネルディスカッションが行われ、生協共済や全労済の現状や課題、保険との同質化、共済の持つ意味、アイデンティティーなどこれから必要とされるものなどの討議と会場参加者との質疑応答が行われた。今回の公開研究会では,地域生協や医療生協などで高齢者向けの配食事業を実施,もしくは予定している方などが参加し,熱心な議論が展開された。

講演:保険法の改正と共済 萩本 修(法務省民事法制管理官)

報告:生活協同組合の理事の義務及び責任とガバナンス 福田 弥夫(日本大学教授)

報告:大規模共済のアイデンティティー 江澤 雅彦(早稲田大学教授)

報告:生協共済のビジネスモデル 岡田 太(日本大学准教授)

パネルディスカッション:今,生協共済に問われていることは?

コーディネーター:福田弥夫,江澤雅彦

パネリスト: 甘利公人(上智大学教授),岡田 太(日本大学准教授), 宮地朋果(慶應義塾大学非常勤講師),小塚和行(日生協共済事業センターコンプライアンス推進部部長), 稲村浩史(全労済経営企画部次長)

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