知の市場

第6回講義概要「子育て支援」

○ 開催日時
2017年5月24日(水)15:00~16:30
○ 開催会場
大東文化大学 板橋キャンパス(高島平)
講師とテーマ

 若松 恵子(生活クラブ生活協同組合たすけあいネットワーク事業部事業管理課長)
 「子育て支援」

概要

 第6回講義は生活クラブ生協の若松さん。前回は「女性の社会進出」(日本生協連 久保さん)の講義でしたが、今回は女性の社会進出に欠かせない「子育て支援」について、生活クラブ生協が実施している具体的な活動について講義していただきました。そして現場目線から今どのような子育て支援が求められているのか学生たちとともに考えました。

 はじめに、若松さんから学生たちへ次の質問が投げかけられました。

  • Q.赤ちゃんを抱っこしたことがありますか?
  • Q.街で子連れの家族を助けたことがありますか?
  • Q.あなたは子どもを産んで育てたいと思いますか?
  • Q.子どもを産んで育てたいと思ったとき不安はありますか?

 (意外にも、これらの質問に男子学生の手のほうが多く挙がりました)

 ほとんどの学生にとって結婚・出産・育児というライフイベントは、まだずっと先のことのように感じられているようでした。

 学生たちが親になる社会がどのような状況かを「日本の将来推計人口」「結婚と出産年齢の推移」など各種グラフや意識調査の結果を見ながら概観しました。そこから垣間見えてきたのは、子育てが不安でつらい。深刻な虐待、急速な少子化など、子育てが苦しい社会。だから、親も地域も子育てに喜びを感じられる社会へチェンジが必要です!!!そして生活クラブ生協の様々な子育て支援事業が紹介されました。

 協同組合だからできる、働く親支援だけではない保育園の役割。子どもの育ちを支える専門集団を活かして在宅で子育てする人へも支援を広げていく。親をエンパワーし、仲間づくりを支える地域のために働く場となる。地域の多様な世代の子育て支援をコーディネートする。子どもの育ちを応援する地域づくりの基地となる。保育サービスを提供するだけに終わらず、子どもの育ちをみんなで喜びあえる地域づくりをめざす。複雑化、重層化する子育ての課題(ダブルケア、子どもの貧困)・・協同することで問題を解決していきたい。

 子どもたち一人ひとりの育ちを支え、子育ての時間を豊かにし、子育ち・子育てを応援する地域をつくる。子育てをきっかけに、社会や地域とつながる。子育て期に育てた絆は、介護に直面した時にも支えられる一生の財産となります。子どもを預け、預かるということは、単に親のためのサービスではなく、預けることで子も親も育つ大切な営みなのです。

 最後に学生たちへ、地域に暮らす大人のひとりとして、あなたが関われることもたくさんあります。と講義が結ばれました。学生たちは将来、地域の中でパートナーと共に、子育てを通して親としても成長していく姿を想像することができたでしょうか。学生たちの感想をお読みください。

受講生のレポートより

【Aさんの報告】赤ちゃんが産まれる前は、病院等で聞くことができるが、産まれたあと頼れる人が身近にいないという不安は考えたことがありませんでした。初めての子育てが一人でできるとは思わないので周囲に頼れる人がいるのは必要なことだと思いました。地域に合わせた支援をしているのはとてもいい制度であると思いました。妊娠中から産まれた後まで様々な点で支援してもらえるのは現代社会の子育てには必要であると思います。生活クラブの保育園では小さい頃からたくさんの食に触れたり、外で遊んだり成長するうえで必要な感性が身に付くように考えられていることが分かりました。ただ子どもを預かるだけでなく子どもの自立を促すなど子育てをしっかりしている点に関心を持ちました。【Bさんの報告】子育ての悩みを抱える親が増加しているため、地域の実情に合わせた地域子ども子育て支援事業が必要だと若松さんがおっしゃっていましたが、私も現在、放課後等デイサービスでアルバイトをしており親御さんとお子さんの両方を支援することの重要性を肌で感じているため、生活クラブの取り組んでいる保育事業を地域の中でもっと増やしていかなければならないなと思いました。また、私は今まで生活クラブの「エッコロたすけあい制度」を知らなかったのですが、今日初めてその制度を知って、親同士の助け合いができることにとても魅力を感じ、将来自分に子どもができたらぜひ利用したいと思いました。子育てを一人で抱えて苦しんでいる親の中で、このような制度を知らない人がまだまだいると思うので、生活クラブのこのような制度が世の中にもっと普及していって、一人で苦しんで子育てをしている親が減って行ってほしいなと思いました。また、親の孤立だけでなく、ダブルケアや子どもの貧困など様々な問題が混在していることを知り、さらに地域の中で皆が協力していくことの大切さを実感しました。【Cさんの報告】生協が取り組んでいる子育て支援について学んだ。ニュースでも多く取り上げられている虐待問題、昔と違って現在は保育園に入れないなど様々な問題がある。また、相談できる環境も少ないため、母親に負担がかかってしまっていることが分かった。そこで生協は、母親と子供を支援するため様々な制度をつくって助けている。保育園を運営したり、母親同士が話合える場所を設けたりしている。また、子供の成長のためにたくさん体験させてより多くのことを学んでもらう活動を行っている。子育ての問題や支援などは将来少なからず自分自身にも訪れることだと思うので今回の講義を受けてとても参考になった。生協の活動はあまりニュースなどで取り上げられないので、このような活動をしているとは知らなかった。私は、母親や子供の支援は全然改善されていないと思っていたが、このような活動が行われていることを知り嬉しく思った。