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刊行物情報

生活協同組合研究 2018年9月号 Vol.512

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非正規化する地方公務員

 将来、子どもに就かせたい職業を親に尋ねたところ、「公務員」が男の子について1位、女の子についても2位という最近の調査結果がある(クラレアンケート「2018年版小学6年生の『将来就きたい職業』、親の『就かせたい職業』」)。このように人気の高い「公務員」だが、「公務員」と見られている人々の中に、正規と比べて著しく低い処遇で働く、多くの「非正規公務員」がいることはどの程度知られているだろうか。

 本特集では「地方公務員」に焦点をあて、その中で進む非正規化に関わる論稿を集めた。そもそも「地方公務員」と肩書きのつく仕事の中には多様な職種があり、その職種や勤務先である自治体によっても非正規化の度合いは異なるが、市区町村レベルで見た場合、約3人に1人が非正規である。彼(女)らは細切れの任期で働くことを余儀なくされ、また正規と非正規の賃金格差を見た場合、民間よりも地方公務員の方が差が大きいのである(上林論稿)。さらに、女性相談窓口の相談員や保育士、教員といった業務経験や高い専門性の必要な職種について非正規化が特に顕著であり(それぞれ73.1%、51.4%、7.3%)、そのことは働く人々(主に女性)にとり不当な差別的待遇であることはもちろん、彼らにサービスを依存する市民にも不利益をもたらしている(戒能、小尾、大広各論稿)。

 それでは、なぜ地方公務員の間で非正規化が進んでいるのか。これには各職種固有の歴史的経緯もあるが、共通して根底にあるのは地方自治体(と国)の直面する財政難である。そして、この問題が極端な形で表れているのが夕張市の事例であろう(厚谷論稿)。このような非正規公務員の増加に直面し、労働者の労働条件や経済的地位向上のために組織される労働組合はどのような対応をしているのか。従来的には正規職員だけで組織されていた公務員の労働組合もこの問題を看過できなくなっているが、公務員の労働権に対する制約や正規職員数自体の減少もあり、少数の成功例を除き、全体としての動きは弱い(川村論稿)。

 こうした状況に対し政府は、非正規公務員の制度と処遇を見直すとして2017年5月に地方公務員法と地方自治法を改正、2020年4月から会計年度任用職員の制度が新設されることになった。これにより「非正規で働く地方公務員にもボーナスを支給できるようになる」と謳われているが、本特集で必要性が指摘されている非正規職員の正規への転換の仕組みなどは用意されていない。* 従業員に対し違法な就労を強制する「ブラック企業」については認知が広がりつつあるが、人々に身近な地方公務員の多くが非正規として低く処遇され、また「公務員」と分類されるが故に、その不利な立場を克服するハードルが高くなっている現状を本号の特集から理解して頂ければ幸いである。

(山崎 由希子)

主な執筆者:上林陽治、戒能民江、小尾晴美、大広悠子、川村雅則、厚谷 司

* 上林陽治(2018)「働き方改革における地方自治体の役割―非正規公務員問題と地域労働政策の確立」『都市問題』Vol.109、p.56-66参照。

目次

巻頭言
お節介な民泊法(武田晴人)
特集 非正規化する地方公務員
非正規公務員という差別構造(上林陽治)
「非正規」婦人相談員について(戒能民江)
公立保育所における非正規雇用化の進行と職場集団─「保育の質」の視点から─(小尾晴美)
公立小中学校の「1年契約先生」(大広悠子)
非正規公務員問題に対する労働組合の取り組みはどこまで進んだか(川村雅則)
コラム 財政再生計画下の夕張市における行財政運営と職員の非正規化問題(厚谷 司)
研究と調査
生協組合員の放射性物質に対する意識や行動の調査(第二報)(近本聡子)
時々再録
ネットにもらす身もふたもない本音(白水忠隆)
本誌特集を読んで(2018・7)
(清川卓史・白井和宏)
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