• 生協総研のミッション&ビジョン
  • 維持会員制度のご案内
  • 生協研究資料データベース
  • 生協総研賞
  • 「生協社会論」講座
  • ロバアト・オウエン協会

〒102-0085
東京都千代田区六番町15 プラザエフ6F
TEL:03-5216-6025
FAX:03-5216-6030
ccij@jccu.coop

  • 研究所の概要
  • 研究活動
  • 助成・表彰事業
  • 刊行物情報

刊行物情報

生活協同組合研究 2015年10月号 Vol.477

特集 : 医療生協の最新動向

 本号のフォーカスは医療生協である。特集テーマに医療生協を取り上げた理由は大きく分けて2つある。一つは,医療生協の活動の核であり,私たちの生活に欠くことのできない医療サービスが現在,国内外からの大きな圧力にさらされていることである。これについては,冒頭の論文で髙山氏(京都橘大)が詳しく論じている。国外からの圧力と言うと,交渉中のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が最初に頭に浮かぶ読者も多いと思うが,髙山氏によれば,米国と日本の二国間交渉が,より深刻な影響を及ぼす可能性を持つ。また,国内の圧力というのは高齢化によるサービス需要と2014年6月に成立した医療・介護総合確保推進法と国民健康保険法の改正にも表れている財政削減圧力である。

 このように医療を取り巻く環境は非常に厳しいものであるが,これは経済先進諸国に共通してみられる現象であり,日本の医療生協の活動が国際的に見ても意義深い実践であることがペストフ氏(エーシュタ・シュンダール大)の論稿で明らかにされている。氏と斉藤弥生氏(大阪大学)の共同調査プロジェクトには日本医療福祉生協連を始めとして,いくつもの医療生協組織からご協力・参加を頂いており,今後とも注目頂ければ幸いである(生協総研もこのプロジェクトに参加している)。

 医療生協の持つもう一つの国際的な面として,白水研究員のコラムで,日本の医療生協関係者が1990年代初頭からモンゴルの医療関係者と交流を重ね,当地の歯科医療向上に寄与したことがつづられている。

 このように国際的な関心を持たれる医療生協であるが,国内で遍く知れ渡っているとは言い難い。そこで日本医療福祉生協連の江本氏に,全国の医療福祉生協の概況について報告する論稿を頂いた。上記の厳しい環境下にも関わらず,組合員数と事業収益は伸びていること,また,地域包括ケアを独自の視点から進めていることがわかる。この「医療生協ならではの地域包括ケア」の具体的な取り組みの一例として,埼玉協同病院の高石氏にコラムを寄稿頂いた。氏の論稿ではリハビリテーション医療が地域包括ケアシステムの全過程に関わる重要なものであり,急速に高齢化の進む日本社会で人々の生活の質の向上に資するものであることが述べられている。

 先に述べた本号で医療生協にフォーカスする理由の二つ目として,本誌では長年にわたり,日本の協同組合の重要な一翼を担う医療生協について,定期的にその活動の様子や新しい動きについて論稿を集めてきた蓄積がある。そこで,介護保険制度の導入後の2001年12月号の医療生協特集で報告を頂いた盛岡医療生協の取り組みが,14年の時を経て,どのように進化しているのかを岩城氏と遠藤氏に寄稿頂いた。介護保険導入によっておきざりにされる高齢者への懸念から始まったミニデイサービスは,中古住宅を購入しての居場所作りにまで広がっており,ミニ診療所の設立まで将来展望に入っているという。また,もう一つの事例として,南医療生協(愛知県)は,組合員と地域市民の参加を得て,新規事業所の設立にとどまらないまちづくりを進めていることが大野氏の論稿で報告されている。

 筆者の限られた観察からは,医療生協と購買生協の組合員が共に活動をしている地域はまだ少数派のように見える。同じ地域内の医療生協と購買生協の組合員レベルの交流が進めば,健康意識の向上や地域内の支え合いも厚みが増すのではないか。少しずつ,交流が進むことを願う。

(山崎 由希子)

主な執筆者:髙山一夫,ビクトール・ペストフ,江本 淳,岩城伊代子、遠藤寿美子,大野京子,高石光雄

目次

巻頭言
「悲しみの分かち合い」としての医療(神野直彦)
特集 医療生協の最新動向
日本の医療制度の現状と課題──最近の改革動向と関連して──(髙山一夫)
なぜ日本の協同組合医療介護を研究するのか──日瑞共同研究プロジェクトについて(ビクトール・ペストフ)
医療福祉生協をとりまく環境と事業戦略──医療福祉生協の地域包括ケアをめざして──(江本 淳)
盛岡医療生活協同組合の明るいまちづくり──ふれあいお茶っこ会の16年──(岩城伊代子・遠藤寿美子)
南医療生協の組合員活動──市民の協同でつくる事業所づくりまちづくり(大野京子)
コラム 医師の立場から考える医療福祉生協の存在価値と今後の展望(高石光雄)
時々再録
モンゴル・エネレル歯科訪問記(白水忠隆)
海外情報
パリの食品小売業事情とビオコープ(鈴木 岳)
研究と調査:(第2期)生協論レビュー研究会(2)
自由化・新農政時代の生協の食料農業政策論──1990年代後半から2000年代までを対象に──(林 薫平)
本誌特集を読んで(2015・8)
(渡辺精一・梶浦孝弘)
新刊・文献紹介
ケネス・クラーク 著『名画とは何か』(田辺 清)
阿部彩 著『子どもの貧困II―解決策を考える』(若松恵子)
研究所日誌
アジア生協協力基金一般公募助成事業のご案内
2015年度生協総研賞第10回「表彰事業」受賞作を発表します
2015年度第4回・第5回公開研究会のご案内