研究活動

第21回全国研究集会が開催されました

 2011年度の全国研究集会は、「東日本大震災と生協の役割」をテーマとして明治大学において開催され、282名のご参加を頂きました。

 2011年3月11日の東日本大震災直後から、被災地生協と全国生協の連携により支援活動が行われてきました。今回の全国研究集会では、発災後半年を経過した段階で、全国生協の事業や組合員活動が、被災者への支援と地域復興にどのようにかかわってきたかを中間的に振返って評価し、今後の震災復興に向けた課題や生協の役割を探ることを課題として、震災と復興に関連する3講演を組みました。
 東京大学社会科学研究所の玄田有史教授には、従来から三陸地方の釜石市をフィールドとして「希望」の所在を探究してこられた経過から、今般の震災がもたらしたものをえぐり出し、今後に向けた課題を提起していただきました。
 中央大学の木立真直教授には、非常事態の中での流通業の役割を掘り下げ、震災の前後で物流がどのように変化したかを分析していただきました。
 放射線医学総合研究所の明石真言理事には、放射能や放射性物質とはどのようなものかを解説し、農産物や飲食物の規制の基準をめぐる論点を整理していただきました。
 後半はパネル討論とし、冒頭で東京大学社会科学研究所の大沢真理教授から、震災に強いまちとはどのようなものかについて問題提起をいただいたのち、日本生協連、みやぎ生協、大阪いずみ市民生協からそれぞれ登壇いただいて議論しました。
 次年度の研究方針として、岩手県・宮城県・福島県の被災地での生協の取り組みを現地に入り込んで調査し、全国の会員で討議できる材料をつくっていくことが決まりました。

 全国研究集会の報告は,『生活協同組合研究』2012年1月号に掲載されています。合わせてご覧下さい。

主なプログラム
開会挨拶 生源寺 眞一(生協総合研究所理事長、名古屋大学大学院教授)
講演① 「震災と復興の希望学」
玄田 有史(東京大学社会科学研究所教授)
講演② 「震災後の流通・サプライチェーンの再生」
木立真直(中央大学商学部教授)
講演③ 「原発事故に伴う放射性物質の問題と飲食物摂取制限の考え方」
明石真言(独立行政法人 放射線医学総合研究所)
報告① 「東日本大震災と日本生協連の対応」
矢野和博(日本生活協同組合連合会 専務理事)
報告② 「被災地からの報告―みやぎ生協の対応」
宮本 弘(みやぎ生活協同組合 専務理事)
報告③ 「生協の被災地支援―大阪いずみ市民生協の対応」
藤井克裕(大阪いずみ市民生活協同組合 理事長)
パネルディスカッション
  テーマ「東日本大震災と生協の役割―流通・社会インフラの形成と危機に強い地域づくりに向けて」
【パネリスト】 大沢真理(東京大学社会科学研究所教授)、
木立真直(中央大学商学部教授)、
矢野和博(日本生活協同組合連合会 専務理事)、
宮本 弘(みやぎ生活協同組合 専務理事)、
藤井克裕(大阪いずみ市民生活協同組合 理事長)
【コーディネーター】 芳賀唯史(生協総合研究所専務理事)
閉会挨拶 芳賀唯史(生協総合研究所専務理事)