• 研究所の概要
  • 研究活動
  • 助成・表彰事業
  • 刊行物情報

海外報告
モンレアル・第3回世界社会的経済フォーラム参加報告【鈴木 岳】


● 多くの参加者が集まったGSEF会議受付ブース

海外出張の目的

第3回世界社会的経済フォーラム参加

日程・訪問地

2016年9月7日~9日 カナダ・モンレアル

報告

第3回世界社会的フォーラム

 2016年9月7~9日にカナダのフランス語圏であるケベック州・モンレアル(「王の山」という意味。英語読みがモントリオール)市で開催された第3回GSEF(世界社会的経済フォーラム)に参加する機会を得た。日本との時差は夏時間で13時間、北半球の地球儀で見ればほぼ表裏である。この遠いモンレアルへは直行便がなく、行きはカルガリー経由とした。内陸のカルガリーの朝が3℃、到着のモンレアル・ピエール・エリオット・トレドー空港が28℃と湿気があり、身体には厳しい。市内からバスとパリに似たゴムタイヤの匂いのするメトロを乗り継ぎ1時間弱で中心部である。厳寒の候が長いためか、地下街が非常に発達している。


● 全体会議の巨大な会場

 さて本フォーラムは、ケベック州(日本の面積の約4倍)の人々を中心に世界諸国から1000人以上(主催者側の発表では1500人、62ヵ国)の参加があった。前2回(2013年、2014年)にソウルへ大挙した日本からの参加は減ったが、それでも「ソウル宣言の会」の一行が来られており、それ以外にも何人かの方々と出会った。


● モンレアル中心部にある
「コンプレクス
・デジャルダン」の威容

 今回の会議はモンレアル市の中心部、地下鉄プラス・ダルム駅に直結する2階から新御茶ノ水駅のような長い直通のエスカレーターで通じる6階の国際会議場で開催された。2階入り口ではチェックがある。これまで、ソウルで2回開催されたGSEFは、国外参加者は参加費無料という大盤振る舞いであった。しかし、今回は一転して早期割引でも参加費用は325カナダドル(1カナダドル≒80円弱)、国際学会なみである。一方で、本会議は当地の巨大な協同金融機関であるデジャルダンが後援している。

 初日の午前中、参加者は大会議場で8人前後の円卓に座る。1200人ほどの椅子のあるなか、参加者は7割くらいか。幾分騒々しい音と光の飛び交う派手な演出の中、モンレアル市長・コデール氏の発言から会は始まった。次いで、僅か1分半ずつはあるが、30以上の諸国各地域の自治体代表ないし代理の方々から、社会的経済への思いが語られた。ケベック州の市町村がさすがに多いが、先住民の地域も含み、他のカナダ地域や米国、フランスやイタリアや南米やアフリカなど、多彩であった。ラテン語圏、キリスト教カトリック圏が強いように思う。もちろん韓国からの力強い紹介もあった。一方で、日本の自治体からの参加は今回なかった。入り口の通路では、20近くのポスターが掲示され、それはすべてケベック州での仕事起こし、環境、福祉、芸術などの多様な社会的経済の実践の説明であった。

 午後からは、多岐にわたる個別セッションとワークショップである。日本からは、事前にGSEF事務局で承認された4つの報告がなされた。

 最終日の9日、「モンレアル宣言」が採択された。先の「ソウル宣言」を継承しつつ、以下の6つが採択された。 1.現在の挑戦を乗り越えるために、またリニューアルした参加的な民主主義を促進するために社会的連帯経済の中心的な役割を認識すること。 2.参加的なガバナンスの領域を広げること。 3.男女、年齢、出所のいかんを問わず包摂的な動きを確立すること。 4.われわれのコミュニティへの欲求と願望を充足するために公―私―コミュニティ間の関係を構築すること。 5.社会的な革新を推進するためにわれわれのビジョンや経験、成果を分かち合うこと。そしてそれはGSEFとその戦略的なパートナーであるCITIESを通じて行うこと。 6.社会的連帯経済(SSE)の運動の未来のために、重要なアクターとして若い人々を認識し支援すること。

 次回のGSEFは2018年、スペイン・バスク州のビルバオ市での開催が決定している。

モンレアルGSEFについては『生活協同組合研究』2017年1月号で、カナダ・ケベック州の歴史と状況を踏まえた社会的経済については『ロバアト・オウエン協会年報』41(2017年3月刊)で報告を予定しています。ご期待下さい。