海外報告
ISTR(国際サードセクター学会)会議出席と調査報告【山崎由希子】

趣旨・目的

① International Society for Third Sector Research 会議出席

② 環境保全・自然エネルギー利用促進団体BUND Munster訪問

③ 貧困世帯支援団体Tafel e. V. 訪問

日 程・訪問地

2014年7月19日~27日 ドイツ・ミュンスター

報 告

① International Society for Third Sector Research 会議出席(7月22日~25日)


● 会議が開催されたミュンスター大学の校舎の一つ

 ISTRは1980年代から活動する非営利法人、協同組合、社会的経済に関する国際的な学会である。第11回を迎える今回は「市民社会と市民」と題し、4日間にわたり多数のセッションが行われた。印象に残った報告は非営利組織の評価方法に関わるもので、どのような方法をとってもメリットとデメリットがあるが、重要なのは①サービスの受け手も必ず評価に参加できること、②多様な評価方法が利用できることなどといった点であった。また、ドイツの市民組織の活動について、1950年代まではそれほど市民組織の活動が活発でなかったこと、地方自治体が徐々に市民団体の設立を容易にする行政ルールの改革を行い、教育や都市計画政策などにおいて特に積極的に市民を参加させるようになったこと、州・地域レベルに比べると中央レベルではまだ政策への市民参加・インプットが少ないといったことを知り、興味深かった。

② BUND Munster訪問(7月21日)


● エコハウスに掲げられている看板。ここに入っている組織の名前とマークが表示されている。

 BUNDは国際的な環境保護団体であるFriends of the Earthのドイツ名であり、鳥類の保護を目的とした団体で、1970年代から活動をしていた。地域組織であるBUND Munsterのメンバーは700名ほどで、地域の組織は主にコミュニケーション(ローカルメディアへの情報提供など)や、地域ネットワークの促進、地域議会への働きかけなどを中心に行っている。特に地域の議会への働きかけは重要な活動であり、緑の党ともっとも緊密な関係を築いているものの、すべての党に対して申し入れを行う。ミュンスターには活動分野や内容の異なる15ほどの環境団体があり、それらが集まってUmweltforum Munster e.V.(ミュンスター環境フォーラム)を形成、市からエコハウスと名付けられたオフィス建物を提供されている。

③ Tafel e. V. Munster 訪問(7月21日)


● 寄付された食料を置く棚

 Tafel e.V. もまたドイツ全土で貧困世帯支援のために活動する団体である。ミュンスターのオフィスは失業者だけが入居できる集合住宅の1階にあり、周囲にはTafel e.V.と同様に、貧困世帯向けの古着店なども入っていた。Tafel e.V.の中心的な活動は食料(と場合によっては洗剤などの日用品)の供給である。寄付によって提供された2台のバンを持ち(うち1台は冷蔵設備がついている)、週6日、近隣のスーパーマーケットから消費期限の近くなった食品を集め、ボランティアが仕分けをする。週に1日、カウンターをオープンし、登録している困窮世帯に食料を配布する。利用料は一律2ユーロ(280円ほど)。常勤・パートタイムを問わず、ミュンスターの組織には雇われて働くスタッフはおらず、すべてボランティアによって運営されている。ボランティアは70名ほどおり、退職者が多いが、フルタイムで働きながらボランティアをしている人もいる。