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研究活動

常設研究会 ― 組合員の参加と購買行動研究会 第2回報告 ―

○ 開催日時
2015年7月17日(金) 13:00~17:00
○ 開催会場
プラザエフ5階 第一会議室
○ 参 加 者
11名(委員7名、事務局4名)
概要

 第2回は「参加」の概念に包含されそうな活動のうち、入口となり、かつ協同組合でしかみられない出資と出資金について、コープこうべの事例と集計をしていただき、次いで「公益性」を達成したい消費者が存在し、生協の購買も公益への参加という視点から捉えられるという提起を氏家清和氏からいただいた。また、これまでの「参加」概念を宮﨑研究員がまとめ、拡散を防いで研究できるようにという方針を提示した。最後に上田座長から、個別の「参加事例」「参加場面」ごとに購買行動への影響を評価をしていくのがよいのではないか、という報告書への指針を提起いただいた。

1. 西門報告 骨子

 コープこうべにおいてはかつては「出資して店舗をつくろう」という運動や実際それで実現してきたが、現在は組合員になるためには1000円しか必要でないし、そのお金が形になることが見えにくい。また、出資金は経営にとって全く影響ない貯蓄状況である。(1)2000年代以降の加入・出資金額1千円以上2千円未満が全体の33.9%(出資金構成比1.5%) (2)一人当たり出資金は、加入年代と相関関係 (3)出資金10万円以上の組合員(5.1%)が出資金全体の58.7% (4)(3)層の人数構成比は、1980年代加入:37.9%、1970年代加入:31.8% などの特徴がある。おしゃべりパーティーは班会に変わる機能をもつが、リピート率、復活率で効果がみられた。

2.氏家報告 骨子

 公共財的属性(環境、地域支援、途上国支援など)がある食品に対するニーズを、生協の購買履歴データから試算した。ある生協の組合員によるコメの購入を介した環境保全への「寄付」額は,年間3億8千万円程度もある。試算額が正しいとすれば、コメの購入を介して、一生協の組合員らにより環境保全へ支払われている擬制的な「寄付金」はかなり大きい可能性がある。日本のように個人が寄付をするという行為がやや敷居が高い社会においては、商品購入を介した「寄付」が、公共財の供給においてより重要な役割を担う可能性がある。

3.宮﨑報告 骨子

 「組合員の参加」という言葉と、それが生協事業にどのように影響するかについて理論的な整理をした。生協に関する先行研究は限られるが、参加の定義についてまとめた松崎論文と、生協の経営についてまとめられた奥村論文をレビューした。研究会の方向性として、①生協の購買事業に解決できる地域の課題を特定すること、②組合員の意向を適切に反映できる参加の組合員参加の仕組みづくりの2点を、成果としてまとめられないかと提案した。