研究活動

常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第35回報告 ―

○ 開催日時
2018年9月25日(火)17:00~19:00
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
9名(委員3名、報告者1名、オブザーバー4名、事務局1名)
テーマ
報 告:
西井 賢悟氏(日本協同組合連携機構 主任研究員)
テーマ:
「JA自己改革の取り組みの現状と課題‐農を基軸とする地域協同組合を目指して」
概要

 西井賢悟氏(日本協同組合連携機構)より、「JA自己改革の取り組みの現状と課題」と題して、農協改革やJA自己改革の動向および今後の課題について報告いただいた。

報告の要旨
1.はじめに

 農協改革やJA自己改革の歩みを振り返って、農協の現場はどのような取り組みをしてきたか、そしてこの問題に対する私自身の問題意識をお話ししたい。

2.農協改革とJAの自己改革の歩み
  1. ①農協改革の始まりは平成26年5月、規制改革会議の「農業改革に関する意見」であり、その後「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」の発表、平成27年8月の農協法改正(28年4月施行)と進んだ。「農業改革に関する意見」では、「農業の成長産業化を実現するために」「JA(単協)は信用事業の業務をやめろ」ということを言っている。実際にはJAの営農事業に対しておよそ1.5憶円の信用事業の利益を投入しており、信用事業を営農事業から分離して、果たして農業の維持・成長が図れるのか、という問題がある。もう一つは、「准組合員の利用規制のあり方」を2021年3月までに結論を出すことを求めている。
  2. ②JAの自己改革については、平成27年10月の第27回JA全国大会での方針がスタートで、①持続可能な農業の実現、②豊かでくらしやすい地域社会の実現、③協同組合としての役割発揮の3つを「めざす姿」として掲げた。具体的な課題の一つに「組合員のアクティブ・メンバーシップの確立」がある。アクティブ・メンバーとは「組合員が積極的に組合の事業や活動に参加すること。地域農業と協同組合の理念を理解し“わがJA”意識を持ち、積極的な事業利用と協同活動に参加すること」と定義されている。組合員の意識調査では、「農業へのかかわりが深い人ほど、JAの参画も高くなっている」。
  3. ③自己改革の取組の現状評価として、農水省が農産物販売事業と生産資材購買事業について、JA(役職員)と認定農業者に調査を行った。結果は、JAでは8割以上が「改革の具体的な取組みを開始した」と回答しているのに対し、認定農業者は4割弱にとどまっている。そこで全中では、2019年に「JAの自己改革に関する組合員調査」を全組合員対象に実施する計画を立てた。この調査を「組合員との対話運動」と位置づけているが、JAの中にはそもそも農協改革を知らない職員がいる、などこの調査を成功させていくにはかなりハードルが高い。
3.今後の課題 -ポスト農協改革を見据えて

 自己改革の取組で最大限の評価を得た(総合事業体の解体阻止、准組合員制度の堅持)としても、農協改革問題は、いずれ再燃することが想定される。その点を考えると、第一に、「食」と「地域」に関わる取り組みを強化し「農を基軸とする地域協同組合」としての実態を強化していくことが大事だと考える。第二には、准組合員について協同組合の視点をもって組合員としての実態をつくっていくことだ。