研究活動

常設研究会 ― 協同組合法制度研究会 第30回報告 ―

○ 開催日時
2017年11月27日(月)17:00~19:00
○ 開催会場
プラザエフ5階 会議室
○ 参加者
17名(委員4名、オブザーバー12名、事務局1名)
テーマ
報 告:
明田 作 氏(農林中金総合研究所 客員研究員)
テーマ:
「農協の准組合員問題について」
概要

 明田作氏(農林中金総合研究所 客員研究員)より、農協の准組合員問題について、報告をいただき、質疑・意見交換を行った。

報告の詳細
  • 農協の准組合員の規制が、政府規制改革会議での農協見直しの一つとして浮上し、平成27年の農協法改正では、准組合員の事業の利用に関する規制の在り方について、法施行から5年以内に調査を行い検討し結論を出す、こととなった。
  • 准組合員制度の歴史的経過、海外の制度との比較、事業利用規制をめぐる論点と課題などについて、報告し、報告者の見解を述べる。
1.准組合員制度を問題とする主張
  • 規制改革会議での意見は、「准組合員数が生組合員数より多くなっているが、その事業利用についてのルール化が示されていない。『農業者の協同組織』という農協の原点からかい離している。」
2.准組合員とは?
  • 戦前の産業組合では組合員は農業者に限定されていなかったが、その後農業団体法の下で会員資格を農業者(正組合員)と農業者以外(准組合員)に区分し、准組合員には議決権を付与しないことで、「農業者の協同組合」であることを担保した。
  • 海外の協同組合法では、組合員の種類や権利は他用であり様々な考え方があるが、それは定款自治に委ねられている例が多く、また員外利用を規制している例は少数である。
3.准組合員の事業利用規制をめぐる論点と課題
  • 准組合員の利用の増大が正組合員の事業利用に制約が生じ不利益を被っているという実態は存在しない。仮にそのようなことがあれば、農協の内部において正組合員が是正すべき問題であり、第三者(政府)が問題にすべき性格ではない。
  • 協同組合の原則は、オープンメンバーシップ制であり、准組合員の割合が高くなったことを持って問題視するのは筋違いというべき。事業利用権は、一種の財産権である組合員持分権の一つで、公共の利益に反する理由もなくその権利を制限ないしは奪うことは、財産権の侵害である。
  • 准組合員の利用規制によって、農協の経営悪化を招き農業分野の「サービス」の減退につながりかねないというのが、むしろ実態であろう。
配布資料
  • 報告レジュメ「農協の准組合員問題について」
  • 参考資料

    多木誠一郎先生「平成27年農業協同組合法改正とその先」(日本共済協会の『共済理論研究』平成29年10月刊所収)

    増田佳昭先生「JAにおける正・准組合員の異質性と同質性」(JC総研の『にじ』2017年臨時増刊所収)
その他

 次回第31回研究会は

日時:2018年1月29日(月)午後5時~7時