研究活動

常設研究会 ― 2050研究会アーカイブ ―

第6回
2014.02.20
報告者 : 榊原 智子(読売新聞編集局 次長)
テーマ : 「持続可能な社会保障制度」へ ---現役・将来世代の目線からの改革

 榊原氏は我が国マスメディアの中でいち早く少子高齢・人口減少について問題意識を持たれた方で、政府の審議会委員を歴任されている社会保障の専門家である。現在の高齢期集中型の社会保障給付を全世代対応型に転換することが喫緊の課題と指摘された。年齢別から経済力別へ負担原則を転換、若年・現役世代の生活保障機能の強化、世帯モデルを21世紀型(共働き+複数の子供)へ、高齢者の社会貢献のサポート等々、社会保障制度の改革について具体的に指摘された。また、少子化問題も子育てリスクを低減させるシステム作りや給付の拡大で改善は充分可能と強調された。子ども子育て新制度で生協が果たせる役割が見えてくる講演であった。
第5回
2013.12.19
報告者 : 樋口 恵子(高齢社会をよくする女性の会 理事長)
テーマ : 大介護時代の「地域とケア、そして生協」

 本研究会の委員である高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子氏から①大介護発生の理由②大介護時代のビジョン③これから考えるいくつかの視点の三部構成で2時間近く持論を展開していただいた。「人生100年社会」「持ち親率」「総長男長女時代」「ワーク・ライフ・ケア バランス」「国民皆老社会=国民皆労社会」等々、時代・社会の諸相を鋭く表現するワーディング(樋口氏の造語)を駆使しつつ、介護保険から落ちこぼれる部分を生協がどう支え得るかについて具体的なアイデアを提示いただいた。
第4回
2013.10.17
報告者 : 北浜 利弘(三菱食品株式会社マーケティング本部部長)
テーマ : 最新食生活事情と、今後の展望

 食品マーケティング専門家である北浜氏からⅠ.急速な少子高齢化の進展 Ⅱ.小売業界の対応 Ⅲ.10年で大きく変わった食生活 Ⅳ.これから顕在化する食の大課題、の四つの領域で豊富な知見を披露していただいた。豊富なデータと自らの足で収集された具体例をベースにマクロ・ミクロ両面で「日本の食の今と将来」の姿を浮き彫りにする講義だった。「お届け」「複合サービス」「インターネット」が、2050年食品小売業として存続できる最低具備条件になるとの印象を強く持った。
第3回
2013.08.22
報告者 : 宮本 太郎(中央大学教授)
テーマ : 「支え合い」のシステム転換 弱い個人による強い社会へ

 宮本太郎中央大学教授から「『支えあい』のシステム転換 弱い個人による強い社会へ」と題する講義を受けた。超少子高齢・人口減少社会では、機能不全に陥った感の強い現在の社会保障制度を「支える側を支える」「支え合いの形を変える」「支えられる側をアクティブにする」システムに転換することが不可欠との問題意識が出された。これを地域における生協の役割発揮にどう引き寄せるかが研究会にとっての宿題になる。
第2回
2013.06.20
報告者 : 前田 展弘(株式会社ニッセイ基礎研究所 准主任研究員、東京大学高齢社会総合研究機構 客員研究員)
テーマ : ジェロントロジー研究から見た2030・2050年の展望と論点

 有識者委員の一人である株式会社ニッセイ基礎研究所准主任研究員兼東京大学高齢社会総合研究機構の客員研究員である前田展弘氏から「ジェロントロジー研究から見た2030・2050年の展望と論点」と題したプレゼンテーション(パワーポイント110枚の力作)を受けた。人口構成変化から始まり個人(人生90年のライフデザイン)地域(コミュニティ再生)社会(連帯・改革・持続性)に至る広範な課題の洗い出しとその解決に向けた大きな方向性(社会システム)を示す内容で、今後の研究会論議の土台となるものになった。
第1回
2013.04.18
テーマ : 研究会の進めかた

 第1回の研究会であり、委員の自己紹介と「研究会の進めかた」を論議した。有識者委員は若林靖永(京都大学大学院教授:座長)白鳥和生(日本経済新聞社編集局デスク)樋口恵子(高齢社会をよくする女性の会理事長)宮本みち子(放送大学教授)前田展弘(ニッセイ基礎研究所准主任研究員)松田妙子(せたがや子育てネット代表理事)の6名。研究会の名称は「2050研究会」とした。2050年になっても生協が持続可能で地域社会から頼りにされる存在であるための提言を作るのが本研究会の目的だが、幅広い論議が有益との共通認識により、超少子高齢、人口減少、生協を研究会名称から外した。委員からは専門的立場から様々な見解が出された。事務局で整理した上で第2回研究会(6月)のテーマを設定する。