研究活動

「欧州の社会変動―直面する課題とその背景」

○ 開催日時
2015年4月22日(水) 17:30~19:35
○ 開催会場
渋谷・コーププラザ 4階会議室
○ 参 加 者
48名
プログラムと報告者

報告「イタリアの協同組合運動、その歴史的背景及び政治との関係」
 伊藤 武(専修大学)

報告「キャメロン政権下のイギリス福祉国家 ―緊縮財政と『大きな社会』―」
 近藤 康史(筑波大学)

概要

 『生活協同組合研究』2月号の特集「欧州の社会変動―直面する課題とその背景」をテキストに特集で取り上げられたスウェーデン、イタリア、スペイン4か国のうち、イタリアとイギリスに関する原稿の著者お二方においで頂き、内容のエッセンスと原稿に書ききれなかったことをわかりやすくお話し頂いた。

 伊藤報告はイタリアで生活協同組合が誕生した19世紀までさかのぼり、国全体の政治状況の変化と、それにより協同組合の受けた影響を中心に議論。イタリアの生活協同組合は多様な分野で活動し、同国の経済に対して持つ影響力も大きいが、時の政治・社会変化に翻弄される面もあったことが分かった。

 近藤報告はキャメロン政権下の英国福祉国家政策を検討した。その特徴はさまざまな公共サービス削減を行いつつ、選別主義や就労原則、市民社会の役割の重視という同国福祉国家の伝統的な性格を維持・強化するものであった。これは財政的制約の要請によるところが大きいが、全体として見た場合にはそれらの政策の持つ「逆進性」と格差拡大に対する懸念があるとのことであった。質疑応答でも活発な議論が行われ、有意義な研究会であった。